外国籍・ゲイ・HIVの「三重マイノリティ」男性が見た日本の不条理

在留特別許可「画期的判断」のその後
崎山 敏也 プロフィール

「パートナーシップ宣誓」での悲しみ

特別在留許可を得て、どこでも自由に行くことができるようになったGさん。「さっそく、住民票と保険証、マイナンバーももらいました。今までは仕事もできませんでしたが、落ち着いたら仕事も探さなくてはなりません」と話します。

しかし、実はまだもうひとつ、滞っていたものがあります。Gさんの住んでいる千葉市では、今年から同性・異性を問わず、互いを人生のパートナーとする二人による「パートナーシップの宣誓」を証明する制度を始めました。もちろん、自治体の条例によって定められたものですから、結婚制度のような法的裏づけはありません。

Gさんも、在留特別許可を得た後、パートナーとともに申請しました。ところが、申請手続きに入るまでに3ヵ月近くもかかったのです。

 

千葉市側は当初、「Gさんがこれまで独身であったことを証明する書類がない」として、「必要な書類が足りない」の一点張りでした。

母国を離れて20年以上が経ち、オーバーステイ状態で、いわばどの国や組織にも属さない状態だったGさんに、どうしてそんなことを証明する書類があるというのでしょう。Gさんはこう嘆きます。

「住民票も保険証もきちんと持てるようになったのに、法的な拘束力がないパートナーシップ宣誓の証明書を得るために、なぜこんなに苦労をしなければならないのでしょうか。二人の今後のために、一番最初にもらいたかったのは、このパートナーシップ宣誓の証明書なのですが……」

補足となるさまざまな書類や、これまでの報道内容の提出などを行ったところ、状況が変わり、6月17日にようやくパートナーシップ宣誓を申請することができました。

申請書類の期限の関係で、Gさんが予定していた日程が急に前倒しになったため、この日は裁判の支援者は誰も来られず、Gさんは千葉市側に、ずっと裁判を傍聴してきた私ともう一人の女性記者を立ち会い人として伝えていました。

市役所内の会議室で、Gさんとパートナーは申請書に記入していきます。はやるGさんが日付などを間違えそうになると、いつも静かなパートナーの男性がさりげなく訂正します。

担当の千葉市男女共同参画課は、「申請には独身であることを証明する書類が必要ですが、それを出せない外国籍の人がいるとは想定していませんでした。今回は台湾の機関へ問い合わせ、すでに提出していた台湾の戸籍の書類をもって、独身を証明していると解釈しました」と取材に答えました。

実際の二人のパートナーシップ宣誓証明書

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