外国籍・ゲイ・HIVの「三重マイノリティ」男性が見た日本の不条理

在留特別許可「画期的判断」のその後
崎山 敏也 プロフィール

Gさんの問題は、日本の問題である

一方で、裁判の傍聴などでGさんと顔を合わせるたびに、徐々に筆者は彼の心境の変化も感じていました。

今回の報告会でも、Gさんは「私は裁判を起こすまでの20数年間、隠れて生きてきました。でも、裁判が進むにつれて、僕自身も周りも変わってきました。前向きになり、SNSなどにも積極的に参加するようになりました」と話しました。

 

Facebookでも、あるときGさんのほうから友達申請がありました。筆者の仕事や趣味のこともよくチェックしてくれているようで、2月の同性婚訴訟の提訴の日、記者会見のあと集会で会ったときには、「崎山さんもとても忙しいと思いますが、身体は大丈夫ですか?」と声をかけてくれました。

その時点ではまだ、Gさん自身の裁判が続いている最中でしたが、「僕自身、同性国際カップルの現状がわかってきたんです。台湾に続いて、日本でも一日でも早く同性婚が認められるのが願いなんです」と話していました。

「Gさんの抱えた課題は、私たちの問題でもある」と生島さんは指摘します。

「HIVに限らず、日本人の外国籍パートナーが何らかの病気で働けなくなった場合、在留資格が更新できないこともありうる。日本はまだまだ、安心して同性パートナーシップを築ける状況ではないということです」

報告会では、Gさんの裁判を担当していた山下敏雅弁護士もコメントを寄せました。裁判は結局、判決を出さない形で、国が特別在留許可を出すことで終結したわけですが、山下弁護士は「これは勝訴以上の、完全勝利でした」と話しました。

「この結果が出たのも、証人尋問が素晴らしかったから。Gさんとパートナーの二人の話を聞いて、裁判官は心を動かされ、被告である国側に『在留資格を出せないのか』と連絡しました。それによって、判決が出る前に国側がギブアップし、特別在留許可が出た。今回の事例は、他の日本人と外国人の同性パートナーにとってもいい影響をもたらしてくれるはずです」

さらに山下弁護士は、こう語ります。

「司法や私たち弁護士は、マイノリティを守るための最後の砦です。一方で、マイノリティを守るための活動は、弁護士や裁判所だけのものではありません。日常生活の中で、誰にでもできることがある。ぷれいす東京の専門家やボランティアによる電話相談や様々な支援活動も、マイノリティの人権を守るために欠かせないものです」

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