トランプがひっそり狙う米中「茶番シナリオ」のヤバすぎる中身と結末

すでに結末まで仕組まれている
大川 智宏 プロフィール

陳腐なトリック

一度始めると対立が長引きそうな欧州や日本の通商問題を先送りしたことも、この論理からすれば正しい。「景気悪化の茶番」に巻き込まれている可能性はないだろうか。

しかも、トランプ大統領はここに来て中国に対してさらに追加で3,000億ドルの制裁を課す準備があるとの発言をしてきた。これを、まだ対話どころか接触のない新しい対象に課すのであれば、解決までに膨大な時間がかかるために現実味がないが、相手は長期にわたって交渉を進めてきた中国である。実際に追加関税をかけて悪影響が顕在化したところで、想定する時期までに折り合いを付ければいいだけの話になる。

 

この妄想に沿って、二期目の当選を確実にさせる時期を考えれば、少なくとも夏の終わりまでには景気の再浮上を狙った経済政策を仕込まなければならない。つまり、現在混迷している対中貿易の問題も夏の間に一気にすべてを解決させ、とりあえず日欧は後回しにしつつ大幅かつ継続的な利下げを実施すれば、数ヵ月のタイムラグをもって2020年初あたりから米国景気は「対前年比」の観点から急反転を見せ、株価もそれに沿って上昇する可能性がある。

〔photo〕gettyimages

ただ、繰り返しになるが、これはあくまで「対前年比」という数字上の陳腐なトリックで、大統領選に向けた錯覚でしかない。トランプ大統領が自ら発生させた通商摩擦によって悪化した分が元通りになるだけである。悪化以前と比較して絶対値が切り上がるわけではない。その意味で、経済および株価の回復も一時的かつ限定的だ。

しかし、一点だけ米中貿易摩擦発生の時点と大きく異なることがある。FRBに「利下げ」という選択肢を引き出させたことだ。

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