トランプがひっそり狙う米中「茶番シナリオ」のヤバすぎる中身と結末

すでに結末まで仕組まれている
大川 智宏 プロフィール

景気悪化は「都合がいい」…?

これに対し、今回の貿易摩擦の話は矛盾をはらんでいるように見える。一応、建前上は知財の問題を捨て置けないという政治上の大義や必然性があるとはいえ、摩擦発生後の手法は短期的に解決する気が一切無いように映る。

米国景気の成長を考えるのであれば、ショックを与えない程度の緩やかな協議、もしくは段階的な妥協案を取ってでも一応の解決へと向かわせることが必須だ。事実として、米国内の統計は急速に悪化の一途を辿っているのだから、本来であれば早急な立て直しのために打開策を実行するのが当然だろう。自身のコントロール下に無いFRBの反応に任せるだけでは、博打要素が大きすぎる。

これを踏まえると、いわゆるトンデモ論的ではあるが、トランプ大統領が「あえて景気の悪化を促進、黙認している」という仮説が成り立つような気がしてくる。経済に悪影響の出そうな政策をやるなら今だ、と積極的に推進しているような意図が見え隠れするのだ。

 

周知の通り、トランプ米大統領は2020年大統領選への立候補を正式表明している。大統領選は2020年11月3日であり、あと1年半程度だ。一般に、各種経済統計や企業業績は、多くの場合対前年比の数字で評価される。大統領選が本格化するのが来年春以降で、そこから本番までの半年くらいの景気が支持率に大きく影響するとした場合、現在の景気および企業業績は、好調であるよりもむしろ低調である方が、発射台が下がる分だけトランプ陣営にとっては都合がいいのではないか、という観点である。

米国だけでなく、世界的にこれ以上大幅な経済の成長性が見込めないことは明らかだ。特に失業率に代表されるように、雇用は過去50年で最も過熱した状態にあり、改善余地はほとんどない。

図 過去50年の米失業率の推移

拡大画像表示出所:Datastream

現在の未曽有の好況の水準から、人々の見た目に鮮明にアピールできるほどの数字を叩き出すのは困難であることは、無論トランプ陣営も分かっていることだろう。そうなると、今のうちに経済に軽く打撃を与えつつ国民からの人気を維持できる対中摩擦は、彼らにとってみれば景気と業績の発射台を下げつつ政策アピールもできるという一石二鳥の最善の策となるわけだ

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