島沢優子さんは、スポーツや教育関係に詳しいジャーナリスト。長らく教育の現場を取材し、『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実』『部活が危ない』『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』など数多くの著書がある。

今まで様々な指導者に出会い、子どもたちを伸ばす教育や育児について実感するとともにエビデンスを学んできた。保護者向けのセミナーや講演も多く、個々の相談にも応じる。その島沢さんが提案するのが、今までの凝り固まった思考から一歩踏み出した「アップデートした子育て」だ。連載「子育てアップデート~子どもを伸ばす親の条件」にて、具体例とともにお伝えしていく。

そういう島沢さん自身、実は過去に子どもからドロップキックをされた経験がある。そこには誰にでも今回はその時の状況を詳しく教えてもらおう。

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えっ、家庭内暴力?

みなさんは、子どもに暴力をふるわれた経験をお持ちだろうか?
私は、ある。息子からドロップキックを一度だけ見舞われている。

「えっ!子育てをアップデートしよう、とか言ってるのに、家庭内暴力ですか?」

そのように眉をひそめるかもしれない。まだ小さかったのでそこまでいかなかったが、彼がもっと大人に近ければ、家庭内暴力に発展したかもしれない。

自分の子どもを認めず、否定してしまったのだから

息子、小学5年生。母、齢40を過ぎた頃だった。

サッカーをしていた息子は試合の際、「継続して」走るのが苦手だった。攻守が切り替わったとたんに下を向く。守備から攻撃に転じるときでさえ地面を見ているため、味方からパスをされても気づかない。

その日はボールが自分の後頭部に直撃。ベンチにいるコーチから「ちゃんとボール見ろ!」と怒鳴られていた。それなのに、息子はニヤニヤ笑いながらピッチを悠々と歩いている。

「息子さんは、大物なのか……。う~ん、わからない」とコーチに言われ、母はすみませんと頭を下げるばかり。

大物なのかの後の「……」は、バカなのか、が入るにきまっているマジで情けない。ああ、恥ずかしい。まったく、もう!

そのような怒りを抱えたまま帰宅。夫は仕事で不在だったため怒りをぶつける相手もいない。のろのろと夕げの支度をしながら、母は相当ため込んでいた。
だが不幸なことに、親を怒らせる子どもは、その怒りに鈍感なことが多い。本人はボールの当たった後頭部を冷やしながら、ガリガリ君をぺろぺろなめている。

そして、「何ぼーっとしてんの。めし、早くしてよ。腹減った」とのたまった。

アイスなめながら親までなめるとは何事か。

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