虐待夫を擁護する妻たち

「腕が痛い。お父さんにやられた」

今年6月6日、札幌市で2歳の女児が衰弱死した事件と時を同じくして、茨城県神栖市で8歳になる小学2年生の長男の手首を包丁で切りつけたり、はさみで手の指を切ったりするなど怪我をさせた疑いで父親である稲葉秀明容疑者が逮捕された。

長男が学校の担任に相談したことで発覚した残忍な事件だが、さらに驚いたのは報道番組内で流れた母親のインタビューだった。

「(夫は)私にも一切手は出したことないし。それ(暴行)は絶対あり得ない。一刻も早く、長男に本当のことを言ってほしい」

母親は暴行自体が長男の虚言であるとし、むしろ逮捕された夫を気遣う発言をするのである。

さらには、アリバイについても証言する。

「(長男に)周りで遊んでてと言って遊ばせて、戻って来たときに手首と中指ケガしてたから、それはもう確実に外でいたずらしてやったんだって。その当時は(夫は)携帯でゲームやってたので」

もちろん、子どもは嘘をつくこともある。ただ、傷口を見れば包丁やハサミで切られたものか否かは大人が見れば容易にわかるだろう。こうして、子より夫を擁護することに必死な母親の姿は異様に見える。

そもそも、このインタビューを受ける必要があったのだろうか。実際、ネットでの書き込みは母親への非難一色だ。

しかし、こうした結果が見えていても、母親にとっては「やらねばならないこと」だったのだろう。夫に対する自分の忠誠を見せるために。

この夫婦には5人の子どもがいる。児童相談所は、養育環境に問題があるとし、毎月、家庭訪問をしていたという。現在は5人とも児相に保護されている。