紫外線を「1万分の1ミリ」で防ぐ! 最強の「日焼け止めの科学」

「匠」が世界初商品の舞台ウラを語った
リケラボ プロフィール

研究開発職に就くために必要な「3つの力」

──研究開発職を目指す方々に、メッセージをいただけますか。

研究員に必要な力は、3つあると思っています。1つ目は、「観察力」です。同じ現象を見て、それを課題に感じるかどうかは、研究員によって違うのです。普通の現象だと思って、スルーしてしまうこともあります。細かい変化も見逃さないというのがポイントです。

2つ目の力は「感受性」。感受性が豊かでなければ、大事なポイントを見逃してしまいます。他の分野に興味をもったり、街で消費者はどんな行動を取っているのかを観察したり。そうしていると、何かが見つかったときに、「ピン!」と反応できるのです。

最後に、「多様性を大事にする力」です。学生時代は教授から与えられたテーマに没頭することが多いと思います。しかし、企業では、優れた研究成果をどうやって消費者に届けるかという、大学の研究とは違う「産みの苦しみ」があります。

どんなに優れた研究でも、それを商品に結び付けるためにはチームで目標を達成していく必要があります。研究者は自分の専門に立って論を展開してくことが得意ですが、商品開発の現場では「1つのゴールに向かって、どのようにみんなで一緒にやっていくか」を考えていくと、上手くいきやすい。

あらゆる技術の基盤となる基礎研究を行う人がいる一方、消費者の目線からこういう製品を作りたいと考える企画者がいて、技術的にそれを解決しようとする研究開発者がいる。

それぞれの立場の「正解」を相手の目線に立って理解したうえで、協力するとよい製品が生まれる。それが、多様性を活かしたモノづくりということではないでしょうか。

──今後の目標があれば、教えてください!

今回の新製品を完成させて、1つの理想的な日焼け止めを形にできたと思っていますが、商品開発にゴールはありません。

海外を見渡すと、まだべたっとした重たい使用感の日焼け止めが多く売られています。赤道直下の地域といった、日本以上に過酷な場所はまだまだありますし、日本から世界中に発信して、一人でも多くの方に「使いやすい日焼け止め」を届けたいです。

今回お話をうかがった人:福井崇さん



花王株式会社 スキンケア研究所 主任研究員。

大学院では生体分子の分析手法を研究し、前職では主に、ヘアケアの商品開発を行っていた。2006年、花王入社。2007年からスキンケア研究所で日焼け止めの開発研究を担当。社内では「日焼け止め開発の匠」と呼ばれている。海外出張中は、ビーチで日本人との日焼け止め対策の違いを発見するのが楽しみ。

(本記事は「リケラボ」掲載分を編集し転載したものです。オリジナル記事はこちら

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