木更津市の電子地域通貨「アクアコイン」のチャージマシン〔PHOTO〕筆者撮影

木更津市が「電子地域通貨」導入に挑んだワケ~地域衰退を止める秘策

「アクアコイン」は現代の藩札になるか

新たな地域通貨

モバイル決済サービスのローンチが止まらない。次から次へと展開される各社のキャンペーン。時代はキャッシュレス戦国時代に突入していると言っても過言ではない。

下記の図は、クラウドキャスト株式会社が公開した、2019年1月時点の国内キャッシュレスカオスマップだ。

まさに混沌である。ところが、国内にはこの表に含まれていない非現金決済手段が、まだ存在する。その一つが、「電子地域通貨」だ。

日本では2000年前後に、地域振興券やプレミアム付き商品券を含む「地域通貨」の導入が盛んになったが、発行・運営に関する経費がかさむことや、商店街振興など利用範囲が極めて限定的であり利便性に欠けたことから、400種以上あったとされる国内の地域通貨は、衰退の一途を辿る。そのほとんどは、地域通貨とは名ばかりの地域で利用できるクーポンの類だったからだ。

しかし、スマホの普及、技術の革新などにより、いま地域通貨は、手のひらの中で扱える決済サービス「電子地域通貨」として生まれ変わろうとしている。「アクアコイン」――。まるでRPGの世界の通貨のような響きを持つこの聞き慣れないコインも、電子地域通貨の一つだ。

 

三位一体の電子地域通貨「アクアコイン」

アクアコインは、全国初の行政・商工会議所・金融機関が連携して取り組む、千葉県木更津市の電子地域通貨である。地元スーパー、木更津市の伝統技芸を受け継ぐ花街、神社仏閣でのお賽銭奉納まで、地元住民・観光客ともにニーズの高い約450の加盟店での利用が可能(2019年4月時点)。

決済種類はプリペイド(前払い式)、決済手段は(QR)コード決済だ。1円=1アクアコインとしてチャージされ、専用アプリで決済、管理などを行える。自動チャージ機に加え、対面窓口でもチャージができるため高齢者にも優しい。

様々な店舗でアクアコインでの支払いが可能〔PHOTO〕筆者撮影

前述の通りアクアコインの特徴は、君津信用組合、木更津市、木更津商工会議所が
連携し、三位一体で導入を推進した電子地域通貨という点だ。君津信用組合にいたっては、地域金融機関の地域貢献の一環としてコインの導入・普及に取り組む「地域通貨課」を新たに設置したほどである。

2018年3月から開始した3か月間の実証実験で、売上目標3000万円に対して売上実績約4149万円、件数にして4852件の利用が記録されたことで、同年10月より、正式に商用展開を開始した。