ヒット商品を次々と生み出す「N1マーケティング」の極意

一人の顧客の意見をとことんまで聞く
現代ビジネス編集部

驚くほどにユーザーが増加

さて、これら「N1分析」を行うことで、スマートニュースについていくつかのことが分かってきました。要点をいうと、一つはTwitterなどのSNSが急速に普及したことで、SNS上でニュースや日々の情報を得るという人が増えたため、スマートニュースの利用に消極的な人が増えていたということ。

また、スマートニュースを使わなくなったという顧客の中には、ヤフーも使わなくなった(ヤフーを通じてニュースを見ることがなくなった)という人が少なくないことも分かりました。

そこから導き出したことは、「スマニューの競合はニュースアプリではなく、SNSである」「ニュースが一覧で見られるだけでは、ユーザーには訴求できない」「なにかニュースだけでなく、日常的に使いたくなるようなサービスが欲しい」ということなどでした。

 

そこでこれらをもとにして有効な訴求ポイントを検討した結果、たどり着いたのが「海外のニュースを原文のまま読める、英語チャンネルの開設」や「クーポンを導入するアイデア」など、それまでのスマニューにはなかった新機能を追加し、新たなユーザーを呼び込むことでした。これらを実践し、日々丁寧な検証と改善を繰り返したところ、こちらが驚いてしまうほど、一気にユーザーの増加につながったのです。

結果、スマートニュースは日米合わせて計4000万ダウンロードを突破しました。もちろんマーケティングだけがすべての要因ではなく、ニュースを提供してくださる媒体社様が増えたことや、もろもろのシステムが日々改善されていることも大きい。とはいえ、私自身はスマートニュースの伸長をもって、N1分析の有効性を再確認したのです。

いまはさらなる伸長を目指して、新たなN1分析を行っているところです。また、スマートニュースはアメリカ進出にも力を注いでいますが、アメリカのユーザーが何を求めているかを知るためにも、N1分析が有効だと確認しています。

一方で、こうしてある会社のサービスが成功すると、あっと言う間に他社が同じ方向を向いて走ってくるのも最近の傾向です。

追随する競合は、なりふり構わず資金を投入して勝負します。それがたまたま当たるとシェアが一気に逆転するということも珍しくありません。しかも、近年、あらゆる分野で追随が容易になっている。特にデジタルはそれが顕著ですが、リアルの商品も例外ではありません。

例えばヒットしている商品を買ってきて、撮影した写真からパッケージの設計図を自動で起こすことも簡単にできるようになりましたし、製品の成分分析も簡単にできます。外食でも地方でユニークなレストランが流行っているという話を聞くと、あっと言う間に同じ仕組みの店舗が登場する。

ニュースアプリでいえば、クーポンに力を入れる競合も増えてきました。結果、シビアな見方をすれば、スマートニュースのクーポンの優位性はかつてほどなくなっています。さらに上を目指して再び「N1分析」を繰り返すしかない。これがマーケティング担当者の宿命なのでしょう。

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