「フェミニズム離れ」する若い女子が抱いている違和感の正体

ハッシュタグ運動から見えること
高橋 幸 プロフィール

彼女たちは、学校や職場、地域コミュニティといった自分が生きている社会的領域のなかでの男女平等な待遇を当然のものとし、それはすでに実現されているという現状認識を持っている。そのために、もはやフェミニズムは不要だとしているということがわかる。「『弱者』、『犠牲者』としての女性」という「フェミニストが言う女性像」に一括りにされることへの反発が、この主張の感情的基盤になっている。

(3)ポストフェミニズム・性別役割重視(19.4%)

では、もう一つ、「母」や「妻」、「恋人」などの女性的な役割を通した自己実現を求める「性別役割重視」はどうだろうか。

「私は夫のためにクッキングするのが好き」、「仕事から帰ってきたボーイフレンドのために料理を作ることは、私らしくなくなることではない」、「私は女らしい(feminine)ファッションが好きで、女らしくありたいと思っている」、露出の多い服装で身体の一部を強調したセルフィにおいて「こういう格好をしたときに見てくれる人が必要」、「私はレイプサバイバーだが、男性を嫌っていない」、「自分の男(my man)のために私がセクシーであることを、私は愛している」などの主張が、フェミニズムが不必要な理由として展開されている。

彼女たちは、家庭生活や恋愛関係において「女性ならではの役割」や「女らしさ」を楽しみたいという主張を持っているが、このような見解がフェミニストによって批判されていると思い込んでいるがゆえに、「フェミニズム」に反対していると考えられる。

ブラジャーを燃やしたり(bra-burning)、化粧を否定したりする「フェミニスト」という古いステレオタイプなフェミニスト理解に基づいているものと考えられる。男性にエスコートされたい、「妻」や「母」として自己実現したいといった「女性としての喜び」をフェミニストが奪おうとしている、と考えていると言えばイメージしやすいかもしれない。

 

ポストフェミニストは何を考えているのか

まとめよう。ポストフェミニストは、社会において、自分が「女性」であるという理由で不利な扱いを受けないこと(ジェンダー中立的な待遇)を当然視しており、現状それが実現されているという認識を持っている(=(2)「個人」主義)。それゆえ、フェミニズムはもはや必要ないと主張する。

社会領域でのジェンダー中立性が実現している以上、日常生活において「女であること」を意識したり、それが問題になったりするのは、家庭や恋愛、性愛といった個人的領域においてのみということになる。