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共演者も仰天した、怪優・田中裕子『おしん』撮影秘話

過労で倒れ、プレッシャーに悩み…

慣れない脚本、長時間の撮影、そして、国民的ドラマを引き継ぐ重圧。過酷な状況のなかでも、田中裕子は見事におしんを演じきる。しかし、彼女の葛藤は続いていた。

橋田壽賀子脚本の難しさ

木俣 冬 '61年から放送が始まったNHK連続テレビ小説(朝ドラ)は、現在放送中の『なつぞら』で100作目に当たります。これを記念して、4月より過去の名作として『おしん』が再放送されているのですが、当時観ていなかった若い層も含めて大きな話題になっています。

木俣 冬(きまた・ふゆ)/東京都生まれ。フリーライター。ドラマ、映画などのルポルタージュ、レビューなどの他、ノベライズも手掛ける。著書に『みんなの朝ドラ』『小説嵐電』など

東 てる おしんの奉公先である加賀屋の長女・加代を演じた私も、再放送でまたどっぷりハマってます。

東 てる美(あずま・てるみ)/'56年東京都生まれ。'74年『生贄夫人』でデビュー。『おんな太閤記』『すずらん』など。'90年に始まる『渡る世間は鬼ばかり』シリーズにレギュラー出演した

並樹 史朗 僕はおしんの夫・竜三を演じました。再放送で『おしん』を観なおすと、やはり青春・成年期のおしんを演じた田中裕子さんの存在抜きには語れない作品だと改めて感じますね。

並木 史朗(なみき・しろう)/'57年千葉県生まれ。『おしん』で田倉竜三役を演じ、人気を獲得。『ラヂオの時間』『踊る大捜査線 THE MOVIE 2』『平清盛』など数々の映画・ドラマに出演
 

木俣 '83年4月から放送が始まった『おしん』(~'84年3月)は、山形の貧しい小作農の家に生まれたおしんが苦労を重ねながら、明治、大正、昭和の激動期を生き抜く姿を描いた、女一代記。平均視聴率52・6%、最高視聴率62・9%という、テレビドラマ史上最高の視聴率を記録しています。

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少女期、青春・成年期、中高年期と3人の女優がリレー形式でおしんを演じているのですが、どうしても少女時代を演じた子役の小林綾子さんに注目が集まりがちですよね。

 そうですね。かわいらしい小林さんがひたすら辛抱するイメージが広まりましたからね。

木俣 でも、小林さんが登場するのは、全297話のうち36話まで。そこから225話まで、物語の大半でおしんを演じたのは田中さんでした。ただ、撮影途中で倒れたりと、現場は相当大変だったと聞きます。