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納税額が1000万単位で変わる「死後節税」の得する手続き

これを試さない手はない

1770万円の節税効果

「父は、母と私に1億6000万円の不動産と1億4000万円の預貯金、計3億円分の財産を残しました。でも、相続税は1円も払っていません」

こう胸を張るのは、東京都在住の西川良治氏(63歳・仮名)だ。

西川氏の父は昨年4月に亡くなった。相続人は西川氏と母の二人だけだった。最終的に、不動産は母が引き取り、残りの預貯金は7000万円ずつ、西川氏と母で等分する形で、財産を手にした。

父の財産をそのまま相続していた場合、母が1400万円、西川氏が370万円の相続税を支払うはずだった。だが、西川氏も母も、税金は一切払っていない。父が徹底的に「死後節税」のための準備をしたからだ。

西川氏の父のような「金持ち」は、財産を家族に多く残すために対策をしている。だが実は、その節税術は、一般的な家庭の人でも十分に利用できる。富裕層から学ぶことのできる死後節税テクニックを紹介しよう。

西川氏が土地を相続する際に利用したのが、小規模宅地等の特例だ。

故人と同居する家族が不動産を相続する場合、土地の部分について、330平方メートルまでの評価額を8割減にできる制度だ。

西川氏の母が不動産を相続すると、1億6000万円の不動産のうち土地1億2000万円分について、評価額が20%の2400万円となる。

利用できる特例はほかにもある。西川氏は、さらに土地の評価額を下げることに成功した。

「実家の敷地に入ってから戸に着くまで、高低差1.5mほどの上り坂になっています。父は生前に、『この家は税務署に申告すれば、評価額を下げられる』と話していました」(西川氏)

 

当初、相談した税理士は不動産の評価額を単純に路線価×面積で見積もった。だが西川氏は、測量士に依頼し、実家内の勾配を測定してもらった。

結果、土地のうち20%が「がけ地」として認められた。税務署に申請すると、不動産の評価額が10%減額された。

これで、土地の評価額は2160万円まで下がった。建物と合わせると、実家の評価額は6160万円。妻の持つ相続税控除枠は1億6000万円分なので、仮に7000万円の預貯金と合わせて相続しても、相続税はかからない。

実は、西川氏のように、相続した土地に減額事由があるケースは多い。

自宅の面する道路の幅が2m未満だったり、高速道路や線路に面している土地も、評価額を最大10%減らすことができるケースがある」(夢相続代表・曽根恵子氏)

相続税を納めた後に減額事由を発見しても、諦めてはいけない。後から税務署に申請すれば、払いすぎた相続税を取り戻す更正の請求ができる。

評価額が10%規模で変化するため、100万円単位のおカネが戻ってくる。「もらえるものはもらう」ためのテクニックだ。