22年間、家族のお弁当を作り続けて

お弁当作りと書きましたが、それがスタートしたのは、長男が幼稚園に入園した年でした。朝起きてから家族全員の朝食を作り、同時進行でお弁当も用意。その後、長女と次女もお弁当を必要とする幼稚園・学校に通ったため、この日課は次女が高校を卒業する日まで、22年間途切れることなく続きました。

お弁当作り最後の日、子どもたちと主人から、感謝状として22年間を記録したノートを渡されました。そこには私がこれまでに作ったお弁当の「好きなおかずランキング」や、私へのメッセージなどがぎっしり。もちろん私は大感激でした。

今も読み返すたびにあの頃の忙しさが蘇りますが、毎朝家族のお弁当作りに奮闘した日々は、今振り返ると私にとって宝物のような時間でした。

家族から贈られた「お弁当手帳」。家族から美惠子さんへの手紙、何が美味しかったか、何が楽しかったか。一生懸命頑張ってきた美惠子さんへの感謝と尊敬と愛がたっぷり詰まっている

70歳を迎え、あらためて人生を仕切り直して

専門学校を卒業して3~4年がたった頃、自宅で念願だった料理教室をスタートさせました。自宅なので当初はお知り合いの方だけを対象にしていたのですが、6年後に自宅の近くにキッチンスタジオを建ててからは、大々的に生徒さんを募集できるように。現在では、料理とシュガーケーキを教える、2つの教室を主宰しています。

美惠子さんが提案するホームパーティの一例。お鍋は魅せられておしゃれなものを用意したり、グリコのお菓子をうまく使ったり。「手間をかけずに美味しくきれいに」という姿勢は、超多忙な生活を経験したからこそ生まれたのかもしれない 写真/『人生楽しく仕切り直し』より

37歳の時、人生を充実させるために思いきって行動を起こして本当によかった。あの時、社長夫人として過ごすだけの日々を虚しく感じたからこそ、今の私があります。そして、やりたいことに対して快く応援してくれた主人のおかげでもあります。

美惠子さんとご主人。大企業の社長をつとめながらも、妻を家庭にしばりつけることが一切ない夫の存在が、妻をより生き生きとさせ、だからこそ家のことをしっかりしようと思う。そんな素晴らしい見本だ 写真/『人生楽しく仕切り直し』より

これまでに、レシピ集を4冊、エッセイ集を2冊出版。今年の春には、70歳を迎えてあらためて人生を見つめ直した『人生楽しく仕切り直し』という本を出すこともできました。

“人生100年”と言われる時代。70歳なんてまだまだこれからです。人生を「仕舞う」のではなく「仕切り直す」つもりで、これまで以上に私らしく生きていきたいと思います。

人生楽しく仕切り直し
嫁、母、姑、料理研究家、さらには社長夫人として約半世紀を駆け抜けてきた著者。美しく聡明な彼女が、70歳を迎えた今だからこそ立ち止まって考えた「これから」の人生。これまで公に語られなかった、暮らしの中の様々な取捨選択について、初めて披露する住居インテリアや衣服コーディネート、見事な三点倒立姿など必見のカラービジュアルも楽しい。講談社エディトリアル刊 定価:¥1400(税別)