夫が働いて得たお金を使って、
私は何をしているのかしら?

さて、子どもにかかりっきりだった日々が一段落したのは、次女が幼稚園に入った時だったでしょうか。全員が幼稚園や学校に通うようになったことで、私にも自分の時間を楽しむ余裕が出てきたのです。

結婚して10年。初めての自由に浮かれた私は、毎日のように芦屋から大阪へ足を伸ばしては、百貨店でのショッピングを楽しみました。主人が私を甘やかしてお小遣いを多くくれたので、お友達とランチを楽しんだりゴルフをしたりしながら、ウキウキと暮らしていました。

ところが、そんな生活を続けて2~3年が過ぎた頃、私は楽しいはずの毎日に虚しさを感じるようになってきたのです。

主人が働いて得たお金を使ってこんなことを続けて何が楽しいのだろう? 私はいったい何をしているのかしら――。

美味しいものを食べ歩いたり、ゴルフのスコアが上がるのを生きがいにしたりされている方もいらっしゃいます。もちろんそれはそれでいいのです、ご自分が満足していれば。でも残念ながら私は、そういった生活に充実感を覚えることはできませんでした。

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「これからは、ただ老いていくだけ」
という恐怖感

私は主人より7つ年下で、しかも若くして結婚したため、主人からは可愛がられ、周囲からもちやほやされながら「奥様業」をこなしてきました。けれど「可愛い」などと言ってもらえるのは若いうちだけ。結婚して10年もたてば、見た目だって変わります。この先、ただ老いていくだけの私に果たして何が残るのか。未来の自分を想像した瞬間、私は恐怖で押しつぶされそうになりました。

ちょうどその頃、主人の仕事の関係で、ある企業の社長とその奥様にお会いする機会がありました。奥様は、大学を出てから通訳として活躍していらっしゃるキャリアウーマン。はつらつとした彼女の姿を見た時、ものすごい劣等感を感じたのです。そう、憧れではなく劣等感です。

私と同じような立場でありながら、彼女は綺麗で能力もおありになる。それにひきかえ私は、毎日子どもの世話をして、ショッピングを楽しむだけの専業主婦。もしかしたら、私にだって彼女のような生き方ができたかもしれないのに……。

このとき私は、切実に「社会に出て何かしたい。人の役に立ちたい」と思ったのです。

考えた末、私が選んだのは「料理」でした。