あの大女優たちが「ヌード」になった理由

売れようとしたのではなく…
週刊現代 プロフィール

2度目も印象的だ。膝立ちの北大路が、仁王立ちした古手川の着物を荒々しく剥がして全裸にし、こう語りかける。

「俺はお前を殺すかもしれない」

古手川はわずかに笑みを浮かべながら、

「おいで、いいわ」

とつぶやく。その瞬間、北大路は彼女の胸に顔を埋めて、抱き寄せる。二人は立ったまま抱擁し、身体を求め合った。

 

古手川は17歳で芸能界デビュー。以来、『西部警察』での渡哲也演じる大門圭介の妹・明子役をはじめ、若手の清純派女優としていくつものドラマ・映画に出演。決して脱ぐことはないと思われていた彼女の体当たりの演技は衝撃的だった。

『春の鐘』の脚本を担当した高田宏治氏が言う。

「男女の情念を描いた作品です。古手川さんの演技は素晴らしかった。美しいエロティシズムの映画だと思います。古手川さんは身体を張って演じてくれました。濡れ場の芝居はぜひ見てもらいたい。処女のような美しさがあるんですよ」

裸の芝居にはすべてが出る

古手川は立原正秋の熱心なファンだというが、それにしてもなぜ清純派の彼女が、オールヌードになることを決断したのか。前出の高田氏が言う。

「ご本人に『代表作をつくりたい』という並々ならぬ思いがありました。撮影に臨むにあたり、古手川さんからはなんでもやるという覚悟を感じました。裸の芝居というのは役者のすべてが出ます。そういう芝居をやりたかった。映画に参加する喜びですね。それで決断して脱いでくれたんですよ。絶頂期で一番綺麗なときでした。彼女が全部を脱いだのはこの作品だけで、最初で最後。その意味でも貴重な作品です」

可憐な少女役はいつまでも演じられるわけではない。『春の鐘』を経て、古手川はお嬢様女優から大人の女優へと脱皮をしていく。『花の降る午後』('89年)では、背中だけのヌードにとどまるが、髙嶋政宏と情欲的な濡れ場を演じ切った。

「花の降る午後」古手川裕子出演「花の降る午後」

また『継承盃』('92年)ではヤクザの若妻役。真田広之に「抱いて」と迫り、ベッドに押し倒すと彼のズボンを剥ぎ、黒い下着姿で濃厚なキスを交わした。

ただし、古手川は'99年に俳優・田中健と離婚して以降、2時間ドラマ枠が減少したこともあって、表舞台で見かけることはめっきり少なくなった。

「'16年6月にテレビドラマ『ゆとりですがなにか』に一話だけゲスト出演したのが最後です。そのときはかなりふっくらしていました。いまは大病しているわけではなく、自分を安売りせずに仕事を選んでいる状況だと聞いています」(スポーツ紙芸能デスク)