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「老後2000万円不足」騒動にみる、戦前と令和の「ある共通点」

ナチス、軍部が伸びた時代に似ている

いまだ激しい議論を呼んでいる、金融庁による「老後に2000万円不足」報告書の問題。作家の佐藤優氏が、その裏側に隠された「政局の流れ」を読み解くーー。

※本記事は『佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」』に収録している文化放送「くにまるジャパン極」の放送内容(2019年6月7日)の一部抜粋です。野村邦丸氏は番組パーソナリティです。
 

与党と官邸のシナリオ

佐藤: 今回、与党としては、野党の反発は織り込み済みだったと思うんですね。

邦丸: 当然、与党側が「2000万円の貯蓄が必要です」と言うと、野党からすると「なに言っているんだよ、政府の怠慢じゃないか」ということになりますね。

佐藤: ところが、考えてみると、「税と社会保障の一体改革」をやったのは民主党政権のときでしょ。

邦丸: 現在の安倍総理と当時の総理だった野田(佳彦)さんが党首討論でそれを約束して、野田さんは衆議院を解散したんでしたね。

佐藤: 三党合意は谷垣(禎一自民党総裁・当時)さんの時代ですよね。そうすると、そのとき民主党政権の側にいた人の中には、国会で「まずは謝れ」とか言っている議員もいますけれど、あなたはあのとき民主党にいたんじゃないの? あなたたちがこの制度をつくったんでしょ、責任はないの? という話になる。

邦丸: 合意したわけですからね。

佐藤: むしろイニシアチブをとった与党側でしたから。制度設計したのはあなたたちでしょ、そのときの設計がおかしかったから、こういうことになったんじゃないの? というふうに、与党側としては切り返せるわけですよね。

「それならば、もっと現実的にこの『2000万円』ということを検討してみましょう。もし95歳まで生きるとしたら、どういう方策があるんですか、具体的に議論しましょう。もし異論があるんだったら、どうぞ、解散総選挙です。争点は一つ。安定か混乱か、です。

今の自公政権によって安定を維持するか、あるいは、いろいろなご意見がおありの方たちが政権をとるか。政権交代すれば大混乱が起きると思いますけれど、国民のみなさんはどちらを選びますか?」

──と、こういうシナリオを官邸側は組んでいるんじゃないかなと私には見えるんですよ。