二階堂ふみが纏う、一周回って新しい「昭和の女子」的な魅力について

『ストロベリーナイト・サーガ』の鳥肌
堀井 憲一郎 プロフィール

たとえば、連続ドラマに先立って放映されたプロローグ編2時間ドラマに「なぜ姫川玲子が警察官をめざしたのか」というエピソードが描かれていた。私は見てないから知らなかった。

それが今回の二階堂ふみ版では、きちんと取り込まれていた。回想の形で第4話に入っていた。

このエピソードが見事だった。

前回に比べ、じつに丁寧に作っていた。

強く胸迫る描写になっていた。

 

今クールでいちばん印象的なシーン

この4月からの全ドラマのなかでこの「高校時代の姫川の裁判シーン」がもっとも心に残っている。

主人公の姫川玲子は高校生のとき、連続婦女暴行事件の被害者になる。入院中の彼女に根気よく寄り添いケアして心を通わせた女性巡査が、その暴行犯逮捕のときに殉職してしまう。その犯人の裁く法廷の証言台に立った高校生の姫川玲子は、犯人の代理人に「合意しての行為だったのではないか」と侮辱的な言葉を投げかけられてしまい、怒り、叫ぶ。そのシーンである。

今回、若い姫川を演じていたのは八木優希。朝ドラ『ひよっこ』で主人公と会社の寮で同部屋だった病弱な役をやっていた。殉職した女性巡査役は「ビズリーチ!」のCMの吉谷彩子である。

法廷で激昂した高校生姫川玲子は、殉職した巡査の覚悟もバカにしているのかと廷内で叫び、係員たちに取り押さえられる。そのとき傍聴席を埋めていた警察官たちが立ち上がり、悲壮な表情で敬礼をする。姫川も廷員たちが驚き、傍聴席を見ると、全員が次々と立ち上がり、きれいに敬礼する。

そういうシーンだった。

ベタである。

ただ泣ける。衝かれたように泣いてしまった。見返すたびに泣いてしまう。

同じシーンは2010年のプロローグ編にもあった。ただ、2010年版では、ここまで胸に迫らない。まったく同じ題材で、同じシーンであるが、訴える力がかなり違う。

簡単に言うなら2019年版のほうが丁寧に作れれていた。

女性巡査と姫川の接触が丁寧に描かれる。そしてそれぞれの母親がやさしく悲しい気配で登場する。

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