アメリカを覆う陰謀論「Q」とは?トランプも手を焼く聖典の中身

「ディープ・ステイト」に「沼の水」?

「Qは真実を語っているの」

5月末の訪日の直前、ドナルド・トランプ大統領が、米東部ペンシルべニア州のモントゥアズビルという人口4500人ほどの小さな街で集会を開催したことは、あまり知られていません。

トランプ大統領の支持者が集まる集会は、たいてい午後4時開場、7時開始です。しかし、筆者が開始11時間前の朝8時に会場へ到着すると、すでに徹夜組を含めて、およそ100人の熱狂的支持者が列を作っていました。

その中には、米国の巨大匿名掲示板「4chan」や「8chan」でトランプ大統領を擁護する投稿を続けている、謎の人物「Qアノン」のフォロワーもいました。

 

今回、あるトランプ支持者が、Qフォロワーのリーダー格とされる、白人女性のマリー・ルーさんを紹介してくれました。ルーさんは40代半ばに見えました。

今年2月に出版された、Qアノンに関する著書『偉大なる覚醒への招待:An Invitation to The Great Awakening』(仮訳)を日本で購入したとルーさんに伝えると、彼女は目を大きく見開いて笑顔を浮かべ、筆者を歓迎してくれました。

「Qアノンは真実を語っているの」

ルーさんはこう語ると、「我々はQの支持者だ(We are Q)」と印刷された紙を封筒から取り出して、筆者に手渡しました(断っておきますが、筆者は調査研究のために集会に参加しており、Qの支持者ではありません)。

「あなたもトランプ集会で、この紙を掲げてQフォロワーの存在感を示して欲しい」という彼女の強い思いが伝わってきました。ルーさんは他の支持者にもこの紙を配布していました。

羽田空港から2回乗り継ぎをしてモントゥアズビルに入った筆者は、早速Qフォロワーと接触でき、すべてが順調に進んでいると思っていました。しかしこの後、間一髪の事態が筆者を待ち受けているとは、夢にも思いませんでした。

ルーさんを交えて他のQフォロワーと立ち話をしていると、サングラスをかけた体格の良い4人組の男が、突然近づいてきました。彼らはダークスーツを着用し、襟にシークレットサービス(護衛官)のバッジをつけていました。つまり、トランプ大統領のシークレットサービスです。

1人のシークレットサービスがルーさんに向かって、ジェスチャーを交えながら「こっちに来い」と、少々乱暴な口ぶりで言いました。

周囲の人は心配そうな表情を浮かべて、ルーさんを見守っていました。シークレットサービスは「Qについて印刷した紙は、集会に持ち込むことはできない」と言うや否や、ルーさんの封筒を取りあげました。