都道府県の人口差は30倍超に!目を背けたくなる「未来の地図帳」

三大都市圏は関西圏から終わりを迎える
河合 雅司 プロフィール

地域差が際立ってくる

2段階で進むこと以上に踏まえておかなければならないのが、人口減少も少子高齢化も全国一律に進むわけではないという点だ。

 

日本の総人口が増えていた時代でも過疎地は存在したし、人口が減り始めた現在でも人口が増えている自治体がある。これからいよいよ、地域差が際立ってくるのだ。全国の傾向を当てはめて個々の地域の取り組みを進めたならば、現実と合わない部分が増えていくばかりであろう。それではビジネスだってうまくいくはずがない。

この先、日本地図は大きく塗り替えられる。さらに言うならば、現在の日本列島とは全く違う姿に変貌するかもしれない。

塗り替えられた日本列島においては、現在の日本人の「常識」は大きく覆る。例えば、都道府県の枠組みだって、いつまで「47」が続くのか分からない。

社人研の「日本の地域別将来推計人口」(2018年)が、2015年から2045年までの30年間について、5年ごとに各地方自治体の人口を予測しているので、その数字を少し追ってみよう。

2045年時点の人口が最も少なくなるのは、鳥取県の44万8529人である。高知県も49万8460人で、50万人割れとなる。60万人を下回る県も3つに上る(島根県52万8988人、徳島県53万5370人、山梨県59万8935人)。現在の高松市の人口が42万人ほどだから、鳥取県は全県で一県庁所在地ほどの規模に縮小するということだ。

一方、人口集中が続く東京都は2030年にピークアウトするものの、2045年は1360万余を維持する。国政選挙のたびに「一票の格差」が問題となるが、都道府県の人口差が30倍以上にもなるのでは、いつまで経っても解消しない。区割りの是正が図られる端から、差が開き始めるのだ。

鳥取はこれからどうなるのか…(photo by GettyImages)

47都道府県は維持できない

とりわけ47都道府県の枠組みの中でやり繰りしなければならない参議院は、300小選挙区の衆議院と比べて是正が難しい。2016年の参議院選挙で2つの県をまたいで1つの選挙区とする「合区」(島根県と鳥取県、高知県と徳島県)に踏み切った。

該当県からは「地域の声が国政に反映されづらくなる」と、合区解消を求める声があがっているが、合区にしても抜本解決策には程遠い。人口激減時代に一票の公平さを追求するならば、行き着く先はかつて〝銭酷区〟と批判を集めた「全国区」へ戻すしかなくなる。

するとそれこそ、地域の声が反映されづらくなる。少しでも地域性を残すためには、発想を変えて、都道府県の枠組みのほうを根本的に見直すしかないだろう

実際、都道府県の枠組みは、人々の暮らしと必ずしも一致しているわけではない。大都市圏では「昼間人口」と「夜間人口」の差が極めて大きい自治体があるように、県境を越えて多くの人々が通勤・通学している。政府は多くの行政サービスや各種統計を都道府県単位で考えているが、住民のほうは小売り店や医療機関など、自分の気に入ったところに出向いているのだ。

もっと身近な例で言うならば、都道府県対抗のスポーツ大会も同じだ。誕生してからずっとその県で暮らしてきた〝出身者〟だけでチームを結成することが困難な種目も出てきた。高校野球などはかねて「野球留学」が盛んだが、様々な関連性を見出して、他県出身の選手をかき集める種目はもはや珍しくない。

『未来の地図帳』のカラー口絵

現時点では2045年より先の推計は試算されていないが、時代が進むにつれて都道府県格差は開き続けるだろう。それほど遠くはない未来まで展望するだけでも、このまま「47」を維持することは、どう考えても難しい

ちなみに、現在の「1都1道2府43県」となったのは1972年だ。その原型は1871年の廃藩置県を経た1890年の府県制にまで遡る。府県制以来、一度も県の合併・分割は行われていない。もし再編となれば約130年ぶりの出来事となる。

三大都市圏も終わりを迎える

維持できなくなるのは「47都道府県」だけではないかもしれない。これまで国土計画は「東京圏」と「関西圏」(大阪圏と同じ)、「名古屋圏」という三大都市圏を軸として考えられてきた。だが、こうした〝現在の三大都市圏〟でさえいつか終わりのときを迎えることになるかもしれないのだ。

とりわけ人口の減り方が著しいのが関西圏である。前出の「日本の地域別将来推計人口」は、2015年を「100%」として2045年の指数を予測しているが、大阪府は17.0%減、京都府と兵庫県が18.1%減、奈良県26.8%減と大きく縮小する。この減り方は、地方圏に属する県と比べても激しい(滋賀県10.6%減、広島県14.6%減、岡山県15.7%減)。

もちろん、地域の人口見通しは全国規模で考えるのとは異なり、人々の移動が大きく影響する。2025年には大阪・関西万国博覧会が開催されることもあり、政府の推計値とは全く異なる未来が到来する可能性だって小さくない。

人々の移動は地域の人口に変化をもたらす(photo by GettyImages)

だが、都道府県の再編や「関西圏」の縮小が現実味をもって語られるほどに、人口減少スピードの地域差はわれわれに激烈な変化を求めてこよう。

都道府県の再編や国土軸が大きく変わる時代が来たとしても、「地域の暮らし」が突如として消えるわけではない。だが一方で、人口激減下の日本で地域の暮らしを守ろうと思うならば、住民側も価値観や意識を変える必要がある。人々が協力しながら、コンパクトでスマートな社会を築いていくしかないのだ。