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女性たちが「ベーシックインカム」を求め続けた歴史をご存知か

給付実験・アンペイドワーク・ケインズ

日本ではあまり知られていないが、3月8日は国際女性デーである。

ロンドンなどイギリスのいくつかの都市では今年女性たちが「女性たちのストライキ」と銘打って、様々なアクションを起こした。ベーシックインカム推進団体である「ベーシックインカムUK」もこの活動に参加していた。

なぜだろうか。

以前のコラム(フィンランド政府が2年間ベーシックインカム給付をして分かったこと)において、フィンランドで行われたベーシックインカムの給付実験の暫定結果を発表する記者会見で、調査委員会の座長が政府に苦言を呈す場面があったことに触れた。じつはこのことも関係しているのである。

 

フィンランド給付実験の青写真

フィンランド政府が2017〜18年の2年間にわたって行ったベーシックインカム給付実験、その概要と暫定結果については前々回紹介した。

実験を行うそもそものきっかけは、2015年の総選挙で、中道政党の中央党が給付実験の実施を選挙公約に掲げたことにさかのぼる。

選挙では中央党が第1党になり、右派系の二つの政党と連立政権を組み、中央党党首のシピラが首相に。給付実験はシピラ政権の政策となり、実験の青写真を描く検討委員会が社会保険庁(KELA)内に設置された。

(なお今年4月の総選挙の結果、第1党は社会民主党となり、同党党首リンネを首相とする、社会民主党、中央党、緑の党、左翼連合などによる中道左派の連立政権と現在はなっている)

この検討委員会の答申は、給付額についていくつかの提案をしており、最終的に決定された月額560ユーロはそのいくつかの選択肢のうちの一つであった。

ただ実際の実験は、検討委員会の答申と大きく異なる点を一つ含んでいた。検討委員会の答申では、給付対象者を失業手当受給者に限定してはいなかった。

給付対象者(とそれを選ぶ母集団)が失業手当受給者に限定されたことは、シピラ政権にとっての政策プライオリティーを反映していた。すなわち失業手当受給者を雇用へ戻すことである。

フィンランド政府が失業手当受給者に実験の対象を限定する案を発表した日、筆者はフィンランドでベーシックインカムについて長年研究してきた研究者たちと一緒にワークショップに参加していた。

政府の発表を受けて翌日からさまざまな政党や研究者への取材をしたが、政府の実験案に対する失望を隠せない人たちが多かった。

これは数日遅れで世界を駆け巡った「いよいよ実験が本決まり」的な肯定的なトーンの英字紙などのニュースとは対象的だった。なぜ彼ら彼女らは失望ないし冷めた反応を示したのだろうか。