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コスト競争時代に突入した「宇宙ロケットビジネス」のこれから

ホリエモンロケットの勝算は…?

世界で一斉に民間ロケットが飛び始めた

ここ数ヶ月で、ロケットにまつわるニュースが相次いだ。日本では、北海道大樹町のロケット・ベンチャーで、堀江貴文氏が出資するインターステラテクノロジズが5月4日に小型ロケット「MOMO(モモ)」3号機を発射。高度113.4kmの宇宙空間に飛ばすことに成功し、日本の民間ロケット宇宙到達第1号となったことが話題を呼んだ。

一方で、ロケット・ベンチャーとして世界的に注目されるイーロン・マスク氏率いる米スペースXが初の宇宙軌道到達を実現したのは、それより11年も早い2008年。さらにスペースXは2019年5月23日、通信衛星を60基も載せた「ファルコン9」を、アメリカのケープ・カナベラル空軍基地から打ち上げ、成功させた。

他方、アマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏が率いるブルー・オリジンは、今後5年以内に月に居住ベースを確立するという大胆な構想を披露している。

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宇宙にはロマンが溢れている。子供の頃、宇宙というテーマでワクワクした思い出を多くの人がもっているだろう。しかし、宇宙ビジネスの当事者にとって宇宙は、費用や競争との熾烈な戦いの市場である。

そもそもロケットは、なぜ打ち上げられているのだろうか。答えはシンプルで、ロケットは「モノ」を宇宙空間に運ぶために打ち上げられている。アポロ計画が展開されていた1960年代には「ヒト」を運んでいたが、最近は「モノ」を打ち上げることが中心となっている。

 

ロケットビジネスのメインは「人工衛星輸送」

では、現在打ち上げている「モノ」は何かと言うと、第一に、人工衛星だ。人工衛星は、かつては研究者が打ち上げる学術的な観測衛星が中心だったが、今や通信衛星、気象衛星、地球観測衛星等、ビジネス目的で打ち上げられているものが多数を占めるようになった。

私たちの生活でも、衛星放送のBSやCS、スマートフォンや自動車のGPS、ウェザーニュースの天気予報、また最近便利になった航空機内でのWi-Fiなども通信衛星が用いられており、生活に非常に密接なものとなっている。

現在、約8000の人工衛星が現役で機能しており、今後5年間で新たに2,800の人工衛星が打ち上げられると予想されている。

そして第二の荷物は、今後増えていくことが確実な、月面探査機の打ち上げだ。私がインタビューを受けた嶺竜一氏の記事「1リットル1億円…!「月の水」発掘ビジネスに乗り遅れる日本」に詳しく書かれている。

今年は月開発元年と言えるほど、いよいよ世界中で一気に、民間企業による月面調査が本格化し、今後は民間ロケット会社による民間ローバー(月面探査機)の打ち上げが当たり前になってくる。

さらにその先には宇宙旅行、そして宇宙に人々が居住する時代がやってくると、スペース・コロニー(宇宙空間に作られた人工の居住地)の資材をはじめ、物資や食料、人の輸送が、ロケットビジネスの対象になってくる。

宇宙ロケットを、ロマンではなく、ビジネスという視点で見てみると、いろいろなことが見えてくる。

現在ロケット事業者にとって、主な顧客は人工衛星事業者だ。宇宙空間にロケットでモノを運んでもらう代金は、俗に「1kg、1億円」と言われてきたほど高価。どれだけ性能の良いロケットを打ち上げる技術があっても、コスト競争に勝てなければ、顧客に支持されず売上が立たない。最終的には倒産してしまう。

そのため、ロケット事業者には、製品戦略、コスト戦略、アライアンス等の判断が求められている。打ち上げに失敗すれば、ロケット生産にかかった費用とともに、クライアントが積荷に費やした資金と汗と努力も失われてしまう。

もちろん、ロケット生産は莫大な費用がかかるため、背後には資金の出し手となる投資家がいる。だから、ロケット事業者は、当然投資家からのプレッシャーも受けている。