世界的に注目を集める「ベーシックインカム」その財源の考え方

税の構造を変えるか、税収に頼らないか
山森 亮 プロフィール

シカゴブランとベーシックインカム

1929年の大恐慌のあとには、そもそも民間銀行が信用創造するような現行の貨幣・銀行システムを変えるべきではないかという提案がなされた。完全準備金制度とか、100%準備金制度と呼ばれる提案だ(山口薫2015『公共貨幣』東洋経済新報社)。

つまり先ほどの準備金の率を100%まで引き上げるという提案である。この場合、民間銀行は信用創造ができず、信用収縮も起こらないとされる。

 

この考え方は19世紀前半のイギリスの経済学者デイビッド・リカードまで遡るが、20世紀前半には、貨幣制度のあり方に疑問を抱いたオックスフォード大学の化学者フレデリック・ソディによって、具体的な改革案として提唱された。

1929年の大恐慌時に、シカゴ大学のフランク・ナイトら8人の経済学者によって「シカゴプラン」として練り上げられ、1933年に政府高官に提案された。またイェール大学の経済学者アービング・フィッシャーも1935年に同様の提案をしている。

その後も、ミルトン・フリードマンやジェイムズ・トービンなど、著名な経済学者がこの提案を支持してきたし、今回の金融危機後にも、一定の注目を集めた。

こうした提案のもとでは、政府なり中央銀行(あるいは新たな公的機関)が流通に必要な分だけ貨幣を発行することになる。

こうして発行された貨幣を、ベーシックインカムとして給付したら良いのではないかという考え方がある。イギリスではその考え方を普及させるために活動しているNPOもある。

著名なところでは、アデア・ターナー元英金融サービス機構長官がこの方法による部分的なベーシックインカムの導入について好意的に論じたりしている。

つづきはこちら:女性たちが「ベーシックインカム」を求め続けた歴史をご存知か