世界的に注目を集める「ベーシックインカム」その財源の考え方

税の構造を変えるか、税収に頼らないか
山森 亮 プロフィール

「信用が極端に収縮」その意味

簡単に現行の貨幣・銀行制度をふりかえっておくと、私たちが使っている通貨はほとんどの国で、政府なり中央銀行にのみ発行権がある。

たとえば日本の場合、紙幣は中央銀行である日本銀行が、硬貨は造幣局が発行している。もし筆者やあなたが、1万円札を作って流通させたら、それは現行法のもとでは犯罪とされる。

では政府や中央銀行だけが貨幣をつくっているのだろうか。実は民間の銀行も貨幣を作り出している。銀行は預かっているお金の何倍ものお金を貸し出すことができる。

いったい預かったお金の何倍まで貸し出せるか、言い方を変えると、銀行は貸し出したお金に対してどのくらいの割合を手元においておく必要があるか、について多くの国で規制がある。

このような規制を「準備預金制度」といい、日本の場合、現在0.05%〜1.3%。仮に1%だとすれば、銀行はあなたの1万円の預金を元手に、100万円を誰かに貸しつけることができる。

つまり銀行が融資をすることで、経済に流通する貨幣が増えていく。この過程を経済用語では信用創造というが、英語ではMoney Creationなので直訳すれば貨幣創造である。

いったん危機が始まって、経済活動が冷え込むと、信用創造の逆で信用収縮がおこる。経済に流通する貨幣の量が一気に減っていく。

 

量的金融緩和と財政支出拡大

先の金融危機では、二つの対策がとられた。

一つは中央銀行による量的金融緩和策である。アベノミクスの第一の矢として、日銀が国債を「異次元」に買い入れているのがそれである。

もう一つは政府による財政支出の拡大である。公共事業などさまざまな経済刺激策を行うことで、企業などが事業を始めたり拡大することを支援して、銀行による融資が増えれば、ふただび信用創造がおこり、貨幣の流通量も増える。

それぞれ賛否が分かれるが、ここでは立ち入らない。

ただ長期的に見た場合、いずれも財政赤字を増やしがちだ。前者の量的金融緩和が、政府が国債を大量に発行することによって支えられているような場合には、政府が借金を増やしていることになる。

後者の財政支出の拡大も、税収が落ち込んでいるときに支出を増やすわけで、必ずではないが多くの場合歳入を超えた歳出をする形となり、赤字が増えていきやすい。

もちろん好景気のときに、歳入超過を維持し、これらの借金を返せればいいだが、とりわけ民主主義社会では、そのようにうまくいかない場合が多いといわれている。実際、いまの日本などはそうした隘路にはまり込んでいるようにも思われる。