発達障害の人が、世のなかで働いて充実した毎日を送るためには、自分ひとりで解決しようとするよりも、適切な支援を受けて自分に合った職場と出会うことが効果的です。ひとりでがんばりすぎず、積極的に支援を受けるようにしましょう。
次に、就労支援の基本的な流れと支援の目標を見てみましょう。
みなさんは、「就労支援」と聞いて、どういったサポートを思い浮かべますか?
職業訓練校のような、スキル習得のために技術を学んだり磨いたりする支援を思い浮かべた人も多いのではないでしょうか。もちろん、そうした支援もその一部ですが、実際にはもっと幅広いものです。発達障害の人への就労支援は、次のような3つの点を目標として考えられています。
1 適職を見つける 支援を受ける人自身、支援者、受け入れる企業が、その人の特性がどういったものかを理解し、その人に合った仕事を考えます。そうすることで、就職や配属が成功しやすくなります。
2 職場に定着する 就職や配属が決まったあとの、作業や人間関係のトラブルを防ぎ、職場環境の調整をはかります。
3 生活環境の調整 働き続けるには日常生活の支援を整えることも大切です。本人、支援者、また最近では企業も参加して、生活面の課題を確認し、その解消を図ろうとする取り組みも増えています。
こうした支援のしくみが整うにつれ、就労支援は、単なる職場紹介ではなく、職場定着までも含めた長期的な支援体制が整ってきました。
次にどこへ相談に行ったらよいのか、おもな相談先を見てみます。
●就労支援の相談目的と相談先の例
このように、支援を行っている機関は様々です。迷ったら、(1)にあたる、医療機関や支援センターなどへ行って働きづらさを相談し、その上で(2)の機関などで自分に合った就労支援を探してみるのがよいでしょう。
次回は、就労支援を利用する就労希望者と、支援を利用しようとする企業が直面しやすい疑問に答える形で、上手な支援の利用のしかたを考えてみたいと思います。
*本記事は『発達障害の人の「就労支援」がわかる本』より作成しました
〈次回『発達障害の人への「就労支援」は働く側も雇う側も、両方サポート』はこちら〉
就職活動から職場への定着、生活面まで就労支援のしくみと活用の仕方をイラスト図解。就労支援の全体像やポイントを手早くおさえられる。当事者だけでなく、受け入れる企業側にも参考になる1冊です!