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F35墜落の原因は… 防衛省の結論と、それでも残された「謎」

「空間識失調」でも説明がつかない

わずか15秒ほどの間に

防衛省は10日、青森県沖で訓練中に墜落した最新鋭ステルス戦闘機「F35A」の墜落原因について、「操縦士が空間識失調に陥り、本人がそのことを意識していなかった可能性が高い」と発表した。

空間識失調とは、操縦士の錯誤により、自分の操縦している航空機の姿勢などを把握できなくなった状態を指す。夜間飛行や晴天時の飛行で陥る可能性がある。

一方で防衛省は、機体操作により重力が増して操縦士が意識を失う「G-LOC(ジーロック)」や、機体の不具合が原因となった可能性について「極めて低いが完全には否定できない」ともしている。

フライトデータレコーダー(飛行記録装置)の記録媒体は見つかっていないが、すでに捜索は打ち切られており、防衛省は証拠不十分のまま原因を絞り込んだことになる。

 

また防衛省は同日、事故原因を公表する中で、レーダーの記録や操縦士と地上管制官とのやり取りの概要も公表した。

その内容をみると、事故機は速度を二段階に上げ、急降下していったことがわかる。墜落直前には音速に近い超高速状態で海に突っ込んでおり、空間識失調だけでは完全には説明できない「ナゾ」が残されている。

防衛省が公表した事故機の状況の概要は以下の通り。

(1)19時25分ごろ、事故機は訓練で対抗機2機を撃墜した旨を送信。 

(2)19時26分ごろ、地上官制官から、米軍機との距離を取るための降下の指示を受けて、事故機は「はい、了解」と送信し、左降下旋回を開始(高度約9600m)。

(3)19時26分15秒ごろ、地上官制官から、米軍機との距離を取るため左旋回の指示を受けて、事故機は左旋回後、「はい、ノック・イット・オフ(訓練中止)」と送信(高度約4700m)。

   (2)~(3)の間、平均降下率が時速約900km以上の急降下姿勢。

(4)19時26分30秒ごろ、当該機がレーダーから消失し、直後に墜落。

   (3)~(4)の約15秒間、平均降下率が時速約1100kmの急降下姿勢が継続。

緊急脱出の形跡はなく、機体は激しく損壊し、部品・破片が海底に落下。

(※下線は筆者)

防衛省による資料
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この発表によると、事故機は地上管制官に米軍機から離れるよう指示を受け、左下方向に旋回後、わずか30秒の間に二段階で速度を早め、海に激突する形で墜落したことになる。

これまで墜落は「訓練中止」の連絡から約1分後とみられていたが、実際は15秒程度しかなかった。まさに「あっ」と言う間の出来事だったのである。