田口淳之介はなぜ「土下座」をしたのか、誰に謝っていたのか?

日本社会を覆う「不寛容」の実態
原田 隆之 プロフィール

ファンや関係者など、直接的、間接的に迷惑をかけ、期待を裏切ってしまった相手だけでなく、芸能人ともなればその影響力の大きさから、不特定多数の「皆様」にも謝罪しなければならないのは大変である。

しかも、SNSの時代になって、心ない罵詈雑言や中傷を投げかけられ、「炎上」してしまうことが増えたため、なおさら気を遣うのであろう。

しかし、週刊誌の記事にもあったように、土下座をしても、その頭を背後から踏みつけるように叩き続ける人々がいる。

その理由としてSNSは匿名の世界なので、匿名をいいことに言いたい放題しているということもあるが、ここにはもう1つ大きな要因が考えられる。

 

公平世界信念

心理学の用語で「公平世界信念」というものがある。

これは、簡単に言えば「良い行いをしていると報われるが、悪い行いをしているとバチがあたる」という昔話の世界によくある勧善懲悪の考え方である。

つい先ごろ女優の蒼井優さんとの結婚を発表したお笑い芸人の山里亮太さんが、「真面目に頑張っていたらこんな素敵なゴールがあった」と述べていたが、それがまさに「公平世界信念」の例である。

「神様はちゃんと見てくれていて、ご褒美をくださった。だから、これからも真面目に生きていこう」というストーリーは、われわれの心の和ませてくれる。そして、「世の中は捨てたものじゃない」という気持ちにさせてくれる。

一方、逆にこの信念は、「悪いことをしたヤツにはバチが当たって当然」という見方にもつながる。公平な世界を守るためには、悪いことをした者をこの世界から排除しなければならないという気持ちにまで行きついてしまうこともある。

日本社会は、ルールを守ることに重きが置かれる社会である。それが、世界から見ると真面目で礼儀正しい国民であると評価されるし、トップクラスの治安の良さを誇っている。

しかし、そうした明るい一面の背後には、ひとたび社会を乱した者に対しては、容赦なくバッシングをして、排除しようという不寛容で暗い一面が潜んでいる。

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