なぜ土下座をしたのか
彼はなぜ土下座をしたのだろう。
報道では、かつて所属していたジャニーズ事務所を辞めたあと、田口さんは今回一緒に逮捕された女性と芸能事務所を立ち上げ、いわゆる個人事務所で芸能活動をしていたという。
すると、今回の一連の騒動のなかで、彼にきちんとした助言をする「大人」がいなかったことが想像できる。
弁護士がついていても、芸能人のマネジメントまではできないだろうから、本人の振る舞いに任せたのかもしれない。
孤立無援で厳しい非難や断罪に向き合おうとするとき、彼は「どうしても許してほしい」という気持ちから、過剰に反応して、考えつく限り最大限の謝罪をしたのだと思う。
人はとかく不安が先に立つと、冷静な判断ができなくなり、過剰な反応をしてしまうものである。
もし周囲にマネジメントをしてくれる人がいたならば、客観的に見て、助言をしたり、修正をしたりすることができただろうが、そうした人々がいなかったために、感情に動かされた行動がそのまま出てしまったのだ。
残念なことに、過剰反応は望ましい効果をもたらさない。度を超した反応の背後にある不安や焦りを人々は感じ取り、こちらまで不安な気持ちになる。そして肝心の謝罪が吹き飛んでしまう。
誰に謝っていたのか
あのとき、彼はいったい誰に対して頭を下げていたのだろう。
謝罪のなかでは、「このたびは私が起こしました事件で皆様にご心配をおかけし、誠に申し訳ございません。そして日頃より私を応援してくださっていたファンの皆様、関係者の皆様に、多大なるご迷惑をおかけしたことを、心より深くおわび申し上げます」と述べていた。
つまり、ファンや関係者だけでなく、「皆様」に対しても、頭を下げていたということである。