撮影/森清

「最初に『中学聖日記』の台本を読んだ時は、この世界に入ったことを実感して嬉しかったです。役者として自分にはないものが多かったので、それは何だろうと考えたし、考えることが楽しかったです。台詞を覚えることは大前提だから、それはまったく苦になりませんでした。例えば、冒頭の黙祷のシーンの時とか、晶は何を思ってここにいるんだろう……と考えながらやるので、台詞はスッと入ってきましたね。

その人の人生を生きるための情報や、どういうふうに生きて来て、今ここに立っているのか、とか。登場人物たちの関係性を落としこんでいくことが大事で、頭も使うし、身体も晶としてどう反応しなければならないかを大切にしました」
 
ドラマ初挑戦だった当時の岡田くんの演技が、ベテランの俳優のように達者とは言えなかったのは当然のことだ。それでも、自分の気持ちがコントロールできない10代の苛立ちやもどかしさ、先生への一途で切ない想いは、リアルな熱をもって画面から伝わってきた。だからこそ、多くの視聴者が惹きつけられ、心を揺さぶられたのだろう。
 
「未だにできてないんですけど、台詞を役として言うことは難しいと、身に染みて感じました。『おはよう』という台詞にしても、これは晶の言う『おはよう』じゃないよなって。『そうかな』とか『先生』というひと言にしても、自分が出てはいけないし。晶としての言葉がちゃんと出ないといけないというのは本当に難しくて。だから想像することが大切だし、家で何度も練習しました」
 
なるほど。黒岩晶は、岡田くんの「素」ではなかった。岡田健史という俳優が、頭と体と心を総動員して作り上げ、血肉を与えたキャラクターだったのだ。