Photo by gettyimages

また業務改善命令を受けた野村証券、根底に見えた時代との「ズレ」

伝統的な金融機関「絶滅」の日は近い

「絶滅危惧種」化の問題

野村ホールディングスと野村証券は先週月曜日(6月3日)、金融庁に、先月28日付の業務改善命令で指示された「改善報告書」の1回目の提出を行い受理された、と発表した。

今回の不祥事の特色は、金融商品取引法に反してインサイダー取引をしたわけではないが、インサイダー取引を禁じている同法の趣旨に反したことが問題視された点にある。同グループは7年前にもインサイダー取引で業務改善命令を受けており、新聞やテレビは「またか」と野村のコンプライアンス軽視を厳しく批判した。不祥事の影響は大きく、日本政府や大手企業の間で、社債や株式の発行・売り出しを行う引受業務の主幹事から野村証券を外すなど、野村との取引を控える動きが続出。昨年度(2019年3月期)に1000億円を超す最終赤字を出したばかりの同グループの収益立て直しに暗い影を投げかけている。

しかし、この不祥事を野村グループ固有のコンプライアンス問題と捉えてしまうと、もっと深刻で本質的な問題を見落とす結果になりかねない。というのは、野村証券は7年前のインサイダー取引以前に反社会的な不祥事を起こした際にも、コンプライアンス強化のための人事評価制度見直しを実施したにもかかわらず、それでは不十分で今回の不祥事を招いた面があるからだ。

 

一連の不祥事の根底には、低金利政策の長期化やIT企業の金融業参入といった金融機関を取り巻く環境の激変に追いつけない、伝統的な金融機関に共通の問題があると捉えるべきだろう。この「絶滅危惧種」化の問題は、コンプライアンスの分野にとどまらず、金融の伝統的なビジネスモデル全体に及ぶ問題だ。もはや伝統的な金融機関には存在価値がないと言わんばかりの環境の激変の中を、果たして証券会社や銀行、保険会社は生き残れるのか。それとも恐竜やマンモスのように消え去るのか。金融セクターは歴史的な節目に直面している。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら