TBS「news23」がキャスター至上主義から卒業できないワケ

一方「zero」は落合陽一でブレイク

アナウンサー≠アイドル

5月19日の本欄「小川アナTBS移籍は成功するか?有名アナらの足跡で読みとく」 (https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64699)でこう書いた。

「キャスター交代によって視聴率が上昇するとは限らない。むしろ、視聴率に変化が現れるケースのほうが稀」

さて、実際はどうだったかというと、元テレビ朝日・小川彩佳アナ(34)が新メーンキャスターに就任したTBS「news23」(月~木曜午後11時、金曜同11時半)の初回だった6月4日の視聴率は4.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)。以降も4%前後を推移している。5月31日までキャスターを務めていた雨宮塔子アナ(48)の最終週の視聴率も4%前後だったので、やはり変わらなかったことになる。

不思議な話ではない。むしろ、視聴率が大きく動くほうがおかしい。視聴者は「ニュース番組」を見たいのであって、アナの好き嫌いでチャンネルを合わせる人はごく少数派であるはずなのだから。今や女性アナはアイドルとは違う。

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世田谷一家殺人事件(2000年)などの未解決事件の真犯人を単独で特定したり、安倍政権が揺らいだりするようなスクープを放てば、間違いなく視聴率は高騰する。半面、イケメンや美人が出演陣になったくらいで見る人は増えない。ニュース番組とはずっとそういうものだった。

伝説化しつつあるニュース番組「ニュースステーション」(テレ朝)が、メーンキャスター・久米宏アナ(74)の降板によって2004年3月に終わることになった際、同局は強い危機感を抱き、久米氏と同じく人気者の古舘伊知郎アナ(64)を擁立し、後続番組「報道ステーション」を立ち上げた。結論から言うと、視聴率はほぼ変わらなかった。

それは久米アナと古館アナの人気度、好感度等が同等だったからだろうか? そうではないはずだ。「報ステ」が、「Nステ」の批判精神や視聴者目線重視などのイズムを受け継いだからに違いない。また、「平日の午後10時からはテレ朝のニュース番組を見る」という視聴習慣が付いていたことが大きかったはずだ。

 

「報ステ」は2016年3月に古舘アナが降板し、同4月からメーンキャスターは局アナの富川悠太氏(42)に交代した。それでも視聴率は変わらなかった。2018年10月からは徳永有美アナもメーンに加わったが、やはり同じだった。視聴者が「アナ」を見ているのではなく、「番組」を見ている表れに違いない。

プロであるTBS報道局の面々にもそれは分かっていたはず。万一、小川アナの起用で視聴率が大幅にアップすると考えていたとすれば、随分と視聴者を見くびった話である。