6月15日 KS磁石鋼の特許出願(1917年)

科学 今日はこんな日

地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

この日、東北帝国大学の本多光太郎と高木弘らが開発した、強い磁性をもつ特殊鋼「KS磁石鋼」の特許が出願されました。

磁石とは、電気を帯びた物体(電荷)を運動させた時、磁場を生じ、電気と磁気の力がお互いに不可分となる性質を持つ物体です。電磁場のふるまいを記述する古典電磁気学の基礎方程式であるマクスウェルの方程式で求めることができます。

磁石には、電流を流すことで磁力は発生させる電磁石に対して、外部から磁場や電流の供給を受けることなく比較的長期にわたって磁力を保持し続ける永久磁石があります。永久磁石の主な原料としては、単体が室温で強磁性を示す3d遷移元素の鉄、コバルト、ニッケルがありました。

さて、KS磁石鋼の「KS」とは、開発研究費を出資した商人の住友総本店(現在の住友グループ)の当主名である住友吉左衛門(Kichizaemon Sumitomo)のイニシャルから取ったものです。成分は、コバルトが35%、クロムが3~6%、タングステンが5~6%、炭素が0.9%、残りが鉄でできています。

KS磁石鋼は、当時世界最強の永久磁石として注目され、その後の磁性材料の開発や、(磁力の)測定技術の研究、ひいては日本の工業技術の発展に貢献したと言われています。1931年に、磁力保持がKS磁石鋼の2倍あるMK磁石鋼に主役の座を奪われてしまいますが、MK磁石鋼の1.5倍の磁力保持を誇る新KS磁石鋼の登場で主役を奪還しました。

ちなみに、現在の最強の磁石は、希土類元素(レアアース)であるネオジムを用いた磁石「ネオジウム磁石」で、こちらも日本人の佐川眞人らによって開発されたものです。

  ネオジウム磁石 photo by gettyimages