巨大アパレル企業が「ドーナツ屋」と「ホテル」を始めた本当の理由

ストライプ・石川社長が明かす
マネー現代編集部 プロフィール

田んぼの真ん中の「原宿」

前述したように、宮崎あおいのCMの狙いはF1層へのブランド拡大だったが、次に石川氏が考えたのが「ターゲットを絞り込まない戦略」。ターゲットをF1層に絞り込むのではなく、「全世代」を意識したCMに転換することを決断したのだ。

F1層に支持のある宮崎あおいに加えて、エントリー層である10代の女性を意識した広瀬すず、またF2層からF3層(50歳以上の女性)にリーチする鈴木京香を起用したCMがそれ。これと同時に石川氏は大胆に出店戦略までも大きく転換することを決め、都心のファッションビルや駅ビルなどから郊外のショッピングモールへ広げていくとした。しかし、この路線転換には社内の激しい反発があったという。

「僕が『郊外のショッピングモールに出店するぞ』と言ったら、『田んぼの真ん中でファッションは発信できない…』などと猛反対されました。そこで、10人乗りのマイクロバスを借りて、郊外のショッピングモールに行ってみた。論より証拠だとね。

行ってみると、それこそ田んぼのど真ん中にあったのは、すでに有名ブランドがたくさん入っているショッピングモール。まさにそこは田舎でもなんでもなく、田んぼの真ん中にある〝原宿″だったのです。これを目の当たりすると、みな納得してくれました」

結果、この路線転換も奏功し、現在「earth」は300億円を稼ぎ出す高収益ブランドとして定着したわけだ。

 

「次」の大転換

こうした全世代を取り込んだブランド戦略が成功したことで、それ以降、ストライプ社の路線転換はより大胆に「社会の価値観の変化」を意識するものとなっている。

そのひとつがテクノロジー企業への転換。かつてアパレル小売りからSPAへと業態転換したように、今度はアマゾンやZOZOのような「プラットフォーマー」への大転換に着手しているのだ。すでにオープン2年目に入っている〝大人のための″ECデパートメント「STRIPE DEPARTMENT」はそのひとつで、ストライプ社が手掛けるネットファッション通販。すでに軌道に乗りはじめており、客単価が一般的なアパレルECを上回る約1万6000円を達成しているという。