アパレル企業がなぜ「ドーナツ」…?
株式会社ストライプインターナショナル(以下、ストライプ社)はこの春、ある驚きの新規事業を始めた。
それは「ドーナツ事業」。アパレル企業がドーナツを新規事業として始めると聞けば、「なぜ?」と思う人は多いだろう。当然、ストライプ社内でも反対意見が相次いだという。
「ドーナツ市場はシュリンクしています」
「そもそも我々はアパレル業態。アパレル業界自体が厳しい時期に、飲食業に進出するのは時期尚早ではないか」……。
ストライプ社の取締役会ではこうした反対意見が飛び交った。
ところが、である。このドーナツ事業、ふたを開けてみると絶好調なのだ。京都の新京極通に「koe donuts」の1号店がオープンしたのは今年3月21日。初日から100分待ちの大行列ができ、いまも人気を維持し続けている。
このドーナツ事業を発案したのは、同社創業者でCEOの石川康晴社長その人。いったいなぜドーナツをやろうとしたのか。石川氏は言う。
「ドーナツというのは、老若男女問わず馴染みがあって、好きなものの一つです。私はこういう商品にすごく可能性を感じるんです。もちろん、すでに市場が確立している業界だと言う人もいましたが、そうではない。このドーナツという食べ物を『イノベーション』すれば、まったく新しいマーケットができるのではないかと思ったんです。
では、ドーナツのイノベーションとはなにか。私が考えたのは、『エシカル(倫理)』、『ウエルネス(健康)』、そしてお客さまの目の前で作るという『エンタメ』。これまでドーナツと聞いてイメージすることがなかったこの3要素を組み入れれば、まったく新しい概念のドーナツ事業ができあがる。そう思ったら、挑戦してみる価値があると思ったんです」(以下、発言は石川社長)
そうしてできあがったのが「koe donuts」1号店。工場併設型のドーナツファクトリーである。