巨大アパレル企業が「ドーナツ屋」と「ホテル」を始めた本当の理由

ストライプ・石川社長が明かす
「earth music&ecology」や「koe」など約30ブランドを展開するストライプインターナショナルは、いまや日本を代表する巨大アパレル企業として知られる。一方で、同社がアパレル企業の枠にとどまらず、飲食やホテルなどまったくの異業種ビジネスに乗り出し、次々と成功させていることをご存じだろうか。同社創業者の石川康晴社長は「路線転換」を重視し、創業以来、会社を変化させることにこだわり続けている。まるで本業がなにかわからなくなるような変幻自在のカメレオン経営。石川社長がその極意をあますことなく明かした――。
 

アパレル企業がなぜ「ドーナツ」…?

株式会社ストライプインターナショナル(以下、ストライプ社)はこの春、ある驚きの新規事業を始めた。

それは「ドーナツ事業」。アパレル企業がドーナツを新規事業として始めると聞けば、「なぜ?」と思う人は多いだろう。当然、ストライプ社内でも反対意見が相次いだという。

「ドーナツ市場はシュリンクしています」
「そもそも我々はアパレル業態。アパレル業界自体が厳しい時期に、飲食業に進出するのは時期尚早ではないか」……。

ストライプ社の取締役会ではこうした反対意見が飛び交った。

ところが、である。このドーナツ事業、ふたを開けてみると絶好調なのだ。京都の新京極通に「koe donuts」の1号店がオープンしたのは今年3月21日。初日から100分待ちの大行列ができ、いまも人気を維持し続けている。

このドーナツ事業を発案したのは、同社創業者でCEOの石川康晴社長その人。いったいなぜドーナツをやろうとしたのか。石川氏は言う。

「ドーナツというのは、老若男女問わず馴染みがあって、好きなものの一つです。私はこういう商品にすごく可能性を感じるんです。もちろん、すでに市場が確立している業界だと言う人もいましたが、そうではない。このドーナツという食べ物を『イノベーション』すれば、まったく新しいマーケットができるのではないかと思ったんです。

では、ドーナツのイノベーションとはなにか。私が考えたのは、『エシカル(倫理)』、『ウエルネス(健康)』、そしてお客さまの目の前で作るという『エンタメ』。これまでドーナツと聞いてイメージすることがなかったこの3要素を組み入れれば、まったく新しい概念のドーナツ事業ができあがる。そう思ったら、挑戦してみる価値があると思ったんです」(以下、発言は石川社長)

そうしてできあがったのが「koe donuts」1号店。工場併設型のドーナツファクトリーである。