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金融緩和へ前のめり…FRBが「日本化」している驚きの現状

6月のFOMCは見逃せない

足許、多くの中央銀行が景気下支えのために金融緩和策を取り始めている。その中でも、米国の連邦準備理事会(FRB)の政策スタンスの変化は鮮明だ。かなりの投資家が7月にFRBは0.25ポイントの利下げを行うと考えているようだ。それが米国の金利を低下させ、株価を上昇させた。FRBもそうした期待を無視できなくなっている。

ただ、FRBによる利下げへの期待には、やや行き過ぎの部分がある。先行きの不確実性が高まっていることは確かだが、それでも米国経済は相応の安定を維持している。このタイミングでFRBが金融市場への配慮や低金利による景気の下支えを理由に利下げを行えば、後々の対応がより難しくなるだろう。

 

アメリカでは、金融緩和への期待がうなぎのぼり

5月上旬の米中閣僚級通商協議において、両国は合意をまとめることができなかった。それを境に、米中の摩擦が激化している。トランプ政権は中国の通信機器大手ファーウェイに制裁を発動した。この決定のマグニチュードは大きい。米国は世界各国にファーウェイ製の基地局などを使用しないように求めるなど、経済活動には大きな影響が出ている。

6月上旬まで先行きへの懸念から米国の株式市場は大きく下げた。株価の下落は米国の個人消費の減少要因だ。加えて、トランプ大統領やペンス副大統領は、FRBが利下げに動くべきであると要請を強めた。市場では先行き見通しの悪化と政治的な要請から、FRBが利下げに踏み切るとの期待が急速に高まった。

4日、パウエル議長が「適切な行動をとる」と述べたことは、市場参加者に「期待すればFRBは必ず応える」という確信を与えたといってもよい。通商面の不安を理由に年内2回の利下げを期待する市場参加者も増えた。FRBは政治と市場参加者からの要請に対して、受け身姿勢をとらざるを得なくなっている。

これを境に、市場参加者の先行き楽観姿勢は急速に盛り返している。それは米国の金利が大きく低下する一方で、株価や非投資適格級の社債価格が反発したことを見れば明らかだ。FRB関係者は利下げ、量的金融緩和に加えて、新しい金融緩和の手段も検討し始めている。当面、市場参加者は、米国の金融緩和を期待し続けるだろう。