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中国政府が懸念する「次のチャイナショックは防げないかも…」問題

外貨準備3兆ドルでも盤石にあらず
唐鎌 大輔 プロフィール

IMFの基準「以下」

近年、IMFは外貨準備適正評価(ARA:Assessing Reserve Adequacy)と題し、そうした伝統的な基準を組み込んだ上で、新興国の外貨準備にとってより総合的な判断基準を設けている。

具体的には(1)輸出額、(2)短期債務、(3)マネーサプライ(広義流動性、Broad money)、(4)その他債務を構成項目とする判断基準である。下図がその推移を見たものだが、(1)から(4)にかかるウェイトは固定相場制と変動相場制で異なり、IMFは中国については固定相場制の係数を採用している 。

各項目は(1)は海外需要の急減リスク、(2)は短期的な債務返済能力に係るリスク、(3)は資本逃避(capital flight)に係るリスク、(4)は対内証券投資などの逃避に係るリスクの代理変数であり、これらを総合した基準がARAと呼ばれる。

なお、(1)に関し、なぜ輸入ではなく輸出なのかと言えば、「輸出による収益は海外需要の減退や交易条件のショックなどから生じる潜在的な損失にさらされている。とりわけ多くの新興国がこのリスクに当て嵌まる」というのがIMFの説明である。その上で輸入は海外需要の減退リスクを捕捉できないうえ、不況期には国内要因から落ち込みを伴って国際収支の改善をもたらすという意味で問題含みだとの指摘もある。

図表に示されるように、中国の外貨準備とARAの関係を考察する上で重要となるのは(3)である。2015年のチャイナショックにより約1兆ドル減少した外貨準備は2016年以降、その水準を安定させているものの国内のマネーサプライが増加を続ける中、言い換えれば(3)に係る資本逃避リスクが高まる中、2017年以降は遂にARAを満たせない状況に陥っている。

 

マネーサプライが資本逃避リスクの代理変数となる背景には「危機時に売却され、外貨建て資産に転換され得る流動的な国内資産の残高を示すため」というのがIMFの説明になる。要するに、国内の貨幣供給量が増加するに伴ってそれらが海外に投資されるリスクも高まるため、これが勢いづいた時に為替市場を混乱させないだけのブレーキを持っているかどうかという視点である。現状の中国の外貨準備はこの点を背景として不十分だと指摘される状況になっている。