まさかとは思うが「ソフトバンク・ショック」はありえるのか?

ITバブル崩壊前夜と似てきた
大原 浩 プロフィール

第2のファーウェイになるのか?

ZTEやファーウェイに対する態度を見れば、米国政府が本気で共産主義中国のIT産業(サイバー攻撃・工作活動を行っている)をたたきつぶすつもりであることは疑いの余地がない。

そしてその攻撃は、順次共産主義中国と密接な関係を持つ他の国や企業に対しても行われるであろうことも明白である。

日本のIT・通信関連企業でその筆頭にあげられるのがソフトバンクである。

創業者の孫正義氏は、これまでの経緯を見る限り、ビジネス上もっともつながりが深い国のひとつが共産主義中国である。ただし、ビジョンファンドに中国と同じく深刻な人権問題を抱えるサウジアラビアからの出資を受け入れたことから、「金さえ出してくれればどんな国でもいい」のかもしれないが……。

6月4日には、保有するアリババ・グループ株式の一部を資金化。デリバティブ負債の取り崩しも含め、2020年3月期第1四半期に約1.2兆円を税引き前利益として計上する見込みだと発表している。

今回の取引決済後、ソフトバンクGと子会社が保有するアリババ株は6億7400万株となり、19年3月末現在のアリババの発行済み株式に対する比率は26%になるという。

アリババグループの総帥であるジャック・マー氏は2018年9月に、会長の職を2019年9月に退き張勇(ダニエル・チャン)CEOを後継に据えると表明しているが、筆者はこれが中国が鄧小平の改革・開放路線を終了させ「毛沢東暗黒時代」に回帰を始めた象徴的な出来事であると考えている。

マー氏は、2018年に中国共産党に入党していることが人民日報で報じられており、ソフトバンクグループの取締役を現在も務めている。

 

さらには、ソフトバンクが基地局にファーウェイ製品を導入しているとも報道されている。米国CIAは既にソフトバンクと共産主義中国の関係は調査済みであろうから、もしCIAが何か情報をつかんでいるのであれば、ファーウェイ問題にある程度の決着がつけば、次はソフトバンクに矛先が向くかもしれない。

トランプ大統領が訪日した際に「孫氏が駆け寄った」ということをニュースにするオールドメディアが多数あったが、そもそもこんなことをニュースにすること自体、メディアがソフトバンクにどれだけ忖度しているかの証明である。

また、このような手法は怪しげな商人のゴマすりであり、トランプ氏は孫氏の顔さえ覚えていなかったかもしれないが、政治家として当然のごとく愛想を振り舞った。

大相撲観戦の帰り際に、「トランプ大統領の方から」わざわざ手を差し伸べて櫻井よしこ氏ら保守派の論客と握手をしたことを考えれば、孫氏の存在がトランプ氏にとってどれほど軽いものかが分かる。

それどころか、米国からのソフトバンクへの圧力は既に始まっているのかもしれない。

昨年来、菅義偉官房長官が「携帯電話料金は4割程度下げる余地がある」と繰り返し発言し、実際に料金が下がり始めているが、これもソフトバンクつぶしの一貫かもしれない。

そもそも、日本国の官房長官が民間の商品価格にこれほど具体的かつ強力に関与するのは異例である。何らかの隠れた意図があると考えるのが自然だが、この値下げで最もダメージを受けるのはソフトバンクである。

膨大な借金の返済に、携帯電話事業の収益が貢献しているのは明らかだし、他社も料金を値下げすればソフトバンクの価格面の優位性は無くなる。

かなりうがった見方だが、日本政府が異例の行動を起こすときには「米国政府への忖度」が理由であることが多いのは事実である。

首切り屋に過ぎないカルロス・ゴーン氏は、再建の神様としてもてはやされたが、「ゴーン事件」で奈落の底に突き落とされた。孫正義氏もIT起業家としてもてはやされた時代は終わり、「ソフトバンク・ショック」で梯子を外されて転落するのも時間の問題ではないだろうか?