まさかとは思うが「ソフトバンク・ショック」はありえるのか?

ITバブル崩壊前夜と似てきた
大原 浩 プロフィール

いまは大ぶろしき企業が強烈な逆風を受ける局面

前述のベンチャーキャピタリストのK氏が成功できたのは、資金注入を求めるベンチャー企業に対して辛口だからである。徹底的にビジネスモデルを精査し、問題点があれば率直に指摘する。彼の厳しい目にかなった企業だけに投資をするから成功率が高いのだ。

実際、ベンチャーキャピタルに出資依頼をする起業家の多くの考えが甘いことは、筆者も以前ベンチャーキャピタルの運営に関わった時に痛感している。資金さえ集めればなんとかなると考え、投資家から集めた資金でポルシェなどの高級車を購入して乗りまわすこともある。成功する前に自分にご褒美をあげるというわけだ……

投資資金を集めやすい、ベンチャーバブルの時期には、このような企業も資金をなんとか調達しながら生き残ることも多い。

しかし、K氏が指摘するように、これからは資金を集めにくい時期に突入するし、K氏のソフトバンクに対する懸念の大きな原因もそこにある。

 

ソフトバンクは、前記のような甘い考えのベンチャーとは違うとは思うが、大量の資金を市場・金融機関から集め、リスクの高い事業(一種のばくちとも言える)に投資してきていることは、よく指摘されることである。

しかも、ここ1~2年は、がむしゃらに資金調達しているように思える。

例えば、現在の市場では「好ましくない」と評価される親子上場を強行し、しかも、大量の資金を調達(使う必要があるはず)しているにもかかわらず、投資家には5%水準の配当をするという、タコが自分の足を食べるような行為を行っている。合理的に考えれば、無配あるいは低率の配当にしたほうが、調達した資金を有効に使えるにもかかわらずである。

その他にも、アリババ株式の売却も含む資金調達は加速している。これまでも「大ぶろしきを広げて資金調達をしてきた」企業ではあるが、ここのところの一連の動きを見ていると「末期」に差し掛かっているように思える。どう考えても、資金繰りに窮した企業の最後のあがきである。

GAFAをはじめとするIT関連業界が頭打ちになり、棚から牡丹餅式の利益を得ることができなくなれば資金繰りに窮するのは当然だ。

借金だらけで、ばくちを打ってきても成功してきた企業の悪運の強さには驚かされるが、運の良さというのはいつまでも続くわけではない。