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「生活費補填のためにキャバで働く」から見えた副業社会の危うさ

やっぱり本業の劣化の方が問題では…?

副業・兼業を原則禁止としていた方針を原則容認へと転換した「モデル就業規則」の改定や、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」づくりなど、前のめりとも見える副業促進に政府が乗り出している。

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今月6日には、政府の規制改革推進会議が、働き手の過労死などを防ぐために本業と副業の労働時間を通算するとしてきた労働基準法について、見直しを求める答申を首相に提出した。

副業には利点も多々ある。私自身も勤め人時代、副業で仕事や人脈の幅を広げ、それが本業にもプラスになった体験がある。だが、それは本業が安定していてこそだ。

”ひとつの仕事で生活できることを原則とした社会”から、”副業を前提とした社会”への転換は、働き手にとって本当にプラスになるのか。女性の副業の場として活用されることが多いキャバクラ職場での聞き取りからは、そんな「副業社会」の危うさが見えてくる。

 

背景に「昼の仕事」の劣化

私は2017年から今年にかけ、「キャバクラ」に務める女性たちに、入職動機や働く条件について聞き歩いている。

昨年度まで大学教員を務め、様々な大学で女子学生たちと話す機会が増えた。そこで「キャバクラでアルバイトをしている」との声をいくつも聞いたことが、聞き取りの背中を押した。

また、キャバクラで働く女性たちの労働問題に取り組む労組のメンバーから、「女性の労働条件の問題」として一緒に考えてほしいと誘われたことも、きっかけになった。

キャバクラは、クラブより割安でキャバレーより高級感がある業態として1980年代半ばに生まれたといわれる。賃金不払いやパワハラなどの労働問題も多数発生している業界ではあるが、経験がなくても採用されやすく、女性の他の仕事と比べて名目時給が高めに見えることが、アルバイトや転職先としての流入しやすさにつながってきた。

これまでに20人ほどの聞き取りを続けてきたが、そのうち8割が、「新卒で就職した仕事が低賃金で、”生活費の補填”としてキャバクラに向かった」と話している。

残りの2割のうち、卒業した専門学校などでの就職指導が十分でなく、一般企業への就職が決まらないまま、「アルバイト体験があったキャバクラにとりあえず『就職』した」という例も1割強あり、残りの1割弱は、「昼の本業の賃金は悪くないが、夜の時間を生かしてもっとお金を稼ぎたい」というものだった。

”生活費の補填”と答えた人たちの本職は、美容師、エステ、保育士など、体力的にきつい割に年収200万円前後の低賃金だったり、不安定だったりするサービス関係の仕事が多く、若い女性の労働条件の劣化の問題が浮かぶ。派遣や受付などもあったが、これらも不安定で低賃金という点では共通するものがある。