実はにぎやかな深海、さらに海底の下1000mの世界

地球と巨大地震の謎を解く鍵
江口 暢久 プロフィール

あの化粧品にも使われる、海洋底からの物質と地震の関係

いろいろなトラブルもあり、ドラマもありましたが、地震断層を無事に発見し、回収することに成功しました。一方で、地震断層の温度計測は1回目の航海では残念ながら達成することができず、航海が終了となってしまったのです。

  コア試料を採取する様子。採取されたコア試料は船上の研究区画ですぐに処理される

しかし、地震断層に残る摩擦熱の温度計測は、地震発生直後に我々が必ずやらなければいけなかったことです。幸いなことに2回目の航海が行われることになり、なんとか温度計測装置を水深6,897.5メートルの海洋底に掘削した854.8メートルの掘削孔への設置に成功したのです。

  温度計測装置を船上から海底下に降ろす準備をする様子

設置から9ヵ月後、無事に温度計測装置を回収し、データを取得しました。そこから得られた温度計データは、間違いなく1回目の航海で回収された地震断層と同じ深さで明らかな温度以上を示しており、このデータと断層サンプルから、「どのように海洋底がすべり、あれほど大きな津波が起きたのか」が明らかになったのです。

  無事に回収した温度計測装置

その詳しい理由はぜひ、ブルーバックス『深海——極限の世界』を読んでみてください。実は我々の生活に身近にある化粧品にも関係しているのです。

【写真】化粧品の正体は?
  意外! ある化粧品の名前は、『深海——極限の世界』で photo by gettyimages

深海──極限の世界
生命と地球の謎に迫る

藤倉 克則・木村 純一 編著
海洋研究開発機構 協力

地球の表面積の7割を占める海。その中でも海洋のほとんどが深海です。深海を研究しなければわからない、生物や地球のしくみ、地震との関連や人類との関わり……。極限ともいえる過酷な環境で、困難も多い深海の調査を続けてた海洋研究開発機構(JAMSTEC)による、臨場感あふれた研究を解説! Amazonはこちら