数にこだわると質が落ちる
でも、いいアイデアが思いつかないからたくさん考える必要があるのでは、と思うかもしれません。実はこの考えが、アイデアの質が上がらない原因にもなっているのです。
アイデアはダイヤの原石のようなもので、見つけた時点では「単なる石」にしか見えませんが、それを磨くことで初めて「ダイヤ」になります。

簡単に思いつくアイデアは、すでに競合となる商品・サービスが存在していたり、実現できなかったりすることがほとんどです。しかし、競合の存在をもってそのアイデアを諦める必要はなく、深掘りする、つまり、競合との違いを明確にすることで、質の良い独自のアイデアにすることができるのです。
繰り返しになりますが、アイデアをたくさん考えると、アイデア一つひとつを深掘りすることが疎かになってしまうため、質の高いアイデアに昇華できなくなります。
先ほどの100名の起業家アンケートにも現れているように、アイデアの数が少ないほど、その一つひとつのアイデアを深掘りすることができ、アイデアの質が上がることによって事業が成功しやすくなるのです。
起業アイデアには「型」がある
巷には、アイデア発想法の類は数多く存在します。しかし、アイデアとして成り立つ要素、つまり型を明確にしたものはありません。それも当然で、アイデアとは自由な発想で、制限を設けることなく考えるものだからです。
一方で、起業アイデアに関していえば明確な型があります。型は、「誰の」「何を」「何で」「どのように」「誰から」の5つの要素で成り立ちます。この5つの要素を考えることが起業アイデアを考えることであり、新しい起業アイデアとは、この5つの要素の新しい組み合わせである、と言えます。
各要素を詳しく説明すると、以下のとおりです。
何を:顧客の課題です。顧客が抱えている悩みや欲求を指します。
何で:課題に対する解決策です。顧客が抱えている悩みや欲求を解決する手段を指します。
どのように:解決策の提供方法です。解決策を顧客に届ける方法を指します。
誰から:収益化を指します。収益化とは、誰から、どのようにお金を払ってもらうか、を指します。
このように、5つの要素を考えることで起業アイデアは完成します。