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井上尚弥を育て上げた、誰でもできる子育ての秘密

「5-3-2」で諦めない子が育つ
井上 真吾

「5‐3‐2」で育てる

 自分なりのあの当時の指導を振り返り、あえて言葉にすれば、

「5‐3‐2」

で育ててきました。

全体を10とすると、5は普通に接する。「ボクシングもいいけど、勉強もするんだぞ」「明日のマラソン大会はボクシングの練習でやってきたことを思えばチョロイもんだ。頑張れよ」、そんな日常的な親子の会話が半分を占めます。

 

つぎの3は「褒める」ことです。とりわけ小さいときはよく褒めました。

「今のジャブは切れていた。ブルース・リーでもかわせないぞ」

子どもが英雄視している人物を取り上げて褒めました。自分も褒められると嬉しいので、子どもたちも積極的に褒めました。子どもは褒められるとよりノッてくれるし、よしもう一度、と頑張ってくれるものです。

自分は普段の練習でも子育てでも、いいところを見つけたらその場ですぐに褒めます。「ガードがちゃんと上がっている。偉いぞ」「箸の持ち方が上手になった」とその都度褒めるのです。

最後の2は「叱る」ことです。ここがポイントです。ただ単に「何でできないんだ」「昨日できただろ」と声を上げて叱ることはいけません。叱るにはコツがあります。「ダメだ」「やめちまえ」と汚い言葉は使わないことです。

「そんな練習で強くなれるのか」

「それ、よくないと思わない?」

叱るときこそ、上から押さえつけるのではなく、自分がこう言われたら納得できるな、と1回間を置いて考えてから語りかけます。

我が息子ですが、他人格です。頭ごなしに叱りつけない。侮辱をするような言い方も避ける。常に聞く耳を持ち、全否定してはいけません。自分の影響下に置いてマインドコントロールするかのような、そんな指導はしたことがありません。

子どもには子どもの人格があります。3人の子には、自分で物事の是非を考え、他人に気をくばることができるように育ててきたつもりです。

ときおり、子どもを自分の所有物のように勘違いしている光景を見かけることがあります。

キッズボクシングの会場で、試合に負けたお子さんを怒鳴り、ひどいときには怒りに我を忘れ、息子を殴るお父さんが稀にいます。そのお子さんが慢心したり、手を抜いて負けたのならまだわかります。その家庭の指導法ですからそれは尊重します。