# 仮想通貨 # ブロックチェーン

伊藤忠商事を辞めた2人が「ブロックチェーン」で起こす貿易革命

「商社時代の課題」を解決する新サービス
マネー現代編集部 プロフィール

SHCの競合サービスがまだないワケ

足立さん、大森さんとも「貿易と非常に相性がいい」というSHCだが、そもそも仮想通貨を使った競合するサービスはないのだろうか。

「仮想通貨で素早く送金をするだけなら、他にいくらでも既存のサービスがあります。けれども現状の仮想通貨では『この商品が着くまで送金は待ってくださいと』といった融通が基本的には利かないんです」

と大森さんは話す。さらに、品物が到着して「水の量が減っているので、これだと90%しか払えません」というときに、条件を急遽変更することもできないのだという。つまり、仮想通貨は画期的な手段ではあるものの、今のままだと貿易には使えない。融通が利かないのだ。

 

そこで、仮想通貨の良さは最大限に生かしつつ、不測の事態に応じて条件変更ができるようにしたサービスがSHCだ。

「SHCという金庫に支払い代金を入れてもらった後、商品が届いて確認してみたら水が少し減っていたとします。そのとき『10%は返金します』という話にお互いが合意しているなら、随時条件を変更して支払いができるわけです」

と大森さん。今までSHCのようなサービスが出てこなかった背景には、条件をその都度変更して送金したいというニーズが、これまであまり無かったということなのだろうか。

「ブロックチェーンという言葉は、仮想通貨を使って資金調達したいという個人の投資を目的に、2016年、2017年くらいから普及しはじめましたが、未だになんだか怪しいというイメージがある。一方で大手企業などでは、ブロックチェーン技術のみに注目し、応用したサービスを開発しようとしている流れがあります。ですから、僕たちみたいに『ブロックチェーンと仮想通貨を使って貿易する』といっても、誰もピンとこないわけです。僕たちはちょうど世間の潮流の中間、はざまにいると言えるかもしれません」

大森さんの話を聞いて納得した。「ブロックチェーンで貿易」という発想は、伊藤忠商事出身の2人だからこそ出てきたものなのだろう。

「ブロックチェーンはあくまで発展途上のネットワークです。透明性が高いとか非中央集権とか言われますが、その観点だけでいえば今のサーバーシステムで事足りてしまうんです。問題は、ネットワークに実際に何を乗せるかということ。その点、貿易を乗せた僕らのサービスは、地味なようで他にはないんです」

と足立さんも付け加える。

ところで、仮想通過は価格変動が大きいイメージがある。サービスにその影響はないのだろうか。

「世界的に流通しているビットコインやイーサリアムは、確かに価格の変動が大きいです。でも今は、米国証券取引委員会が承認した価格変動がない『ステーブルコイン』が普及してきています。ドルに準じる暗号通貨ですね。これを使えば、基本的にドルで取引しているのと変わらない。ですから貿易決済などでは今後、ステーブルコインが使われる流れになっていくはずです」

なるほど、スタンデージやこれまで貿易に頭を抱えていた中小企業にとってみれば、ますます追い風のようだ。

SHCが、従来の貿易や物流を変える可能性のある画期的なサービスだということはわかった。では、具体的にどう画期的なのか。従来の国際送金に紐づく課題はどれくらい解決されるのか。

後編(「ポケット商社」が海外送金を変える!銀行には真似できない新サービス)では、それらの疑問を解決していく。