# 仮想通貨 # ブロックチェーン

伊藤忠商事を辞めた2人が「ブロックチェーン」で起こす貿易革命

「商社時代の課題」を解決する新サービス
マネー現代編集部 プロフィール

ナイジェリアとの運命的な出会い

「ビットコインの裏側にあるブロックチェーンという技術を知ったことは、すごく画期的でした。僕らはそれまで貿易をやっていましたが、言ってしまえばオールドエコノミー。テクノロジーに触れる機会はほとんどありませんでした。

だから、世界で初めてのデジタルアセットである仮想通貨に出会い、これに人生をかけたいと思った。ただのデータでしかないのに、世界中の人がその金銭的価値を認めている。これはものすごいなと感じました」

当時、商社という業態は業績絶好調だったと足立さんは振り返る。ただ、ものすごくITテクノロジーからは遠かった。そこに危機感を感じていたこともあり、2人はブロックチェーンを基盤に事業を展開する会社を立ち上げることに決めた。それがスタンデージだ。

 

「とはいえ、ブロックチェーンを基盤にするといっても、僕らはエンジニアでもない。正直なところ、何から始めていいのかわかりませんでした。ただ、ブロックチェーンとアフリカ、というキーワードは当初から頭にあったんです。フィンテックとアフリカってものすごく相性がいいですから」

例えば、フィンテックの先進国であるケニアでは、「エムペサ(M-Pesa)」というモバイルの送金サービスが浸透していて、同国のGDPの7割を超える金額が流通していると足立さんは言う。ガラケーから電話番号を打つと簡単に送金できるサービスだ。

そんなとき、アフリカに関するセミナーにたまたま参加したことで、足立さんは運命的な出会いを果たすことになる。登壇していたのは、ナイジェリア人のデイブ・ガブリエルさん。スタンデージ ナイジェリアオフィスの現CEOだ。
*本記事トップ画像左端の人物

「デイブがナイジェリアについて熱く語っていたのを見て、懇親会で彼にラブコールを送りました。最初『アフリカへ行きたいんだけれど』と言ったら、『みんなそう言うんだけどさ、お前本気か?』という感じでしたが、結局ナイジェリアに本当に会社を作ってしまったんです」

その決断力と行動力には圧倒されるが、実際に今、彼らが作ったサービスは、これまでの貿易や物流のあり方を一変させようとしている。特に、新興国の貿易を塗り替えようとしている、と表現しても言い過ぎではないかもしれない。

ブロックチェーンの上に「金庫」をつくる

スタンデージが開発したサービスとは、「SHC(シェイク・ハンズ・コントラクト)」。ブロックチェーンや暗号通貨技術を基盤にした、透明性と実用性が極めて高いエスクローサービスである。そもそもエスクローとは、売り手と買い手の間に入ることで、取引代金と商品の安全な交換を保証するサービスのこと。言うなればブロックチェーンの技術で、ネットワーク上に取引代金を一時的に保管できる「金庫」を作るのがSHCのサービスだ。具体的には以下の流れになる。

「ブロックチェーンは国の概念がなく、イメージとしては空の上にあるネットワークです。そのネットワークからいろんな人の金庫がぶら下がっているわけですが、僕らのサービスを使えばネットワークにエスクローを作ることができる。第三者の金庫を作るイメージです。

まず買い手が自分の金庫からエスクローに通貨を入れる。そして約束通り商品が到着してお互い合意をすれば、エスクローの鍵が開いて売り手は通貨が取り出せる。これはブロックチェーンという技術がないと成立しません」

私たちの周りで一番身近に使われているエスクローが、メルカリや、Yahoo!オークションの決済だ。ただし、メルカリや、Yahoo!オークションの場合は、会社自体がお金を預かってやり取りをしている。一方でSHCでは、スタンデージがお金を預かるのではない。あくまでもお金を一時的に入れておく金庫を提供するサービスである。しかも、もう少し取引できる金額が大きくて、国際単位でやり取りできるのが特徴だ。