IT立国・ルワンダの首都を牛耳る中国人経営者たちの野心と本心

安田峰俊・チャイナフリカを往く②
安田 峰俊 プロフィール

「ニンテンドースイッチより安い」高度人材

確かに、ルワンダの人件費は安い。例えば現地で私の案内人になってくれているピーター(前記事参照)も、実はC&H社から管理職としてスカウトを受けたことがあるが、提示された条件はなんと月給20万RWF(約2万4000円)である。

工場ワーカーの3倍弱の「高給」とはいえ、中国留学帰りの修士号取得者で、英語・フランス語・中国語・スワヒリ語をビジネスレベルで使える30歳の高度人材に提示される月給は、ルワンダではなんとニンテンドースイッチの本体価格(約3万2000円)よりも安いのである。ピーターは言う。

キガリSEZを案内してくれたピーター。こう見えても高度人材です。2019年4月安田撮影

「さすがに安いと思ったから、オファーを受けなかった。でも、他の中国企業からも月給30万RWF(約3万6000円)くらいで打診されることはあるんだ」

ルワンダは2018年のGDP成長率が8.6%を叩き出す高度経済成長に湧いているが、一人あたりGDPは750ドル程度に過ぎず、同年末時点ですら電化率が34%、ラジオ普及率が74%という貧しい国家だ。産業は未発達であり、労働者を大量に養えるような雇用先もまだまだ少ない。

 

2018年末のルワンダの若年層失業率は18.7%だ。これは他のアフリカ諸国よりはマシだが(例えば西アフリカのガーナの場合、「大卒の」若者の失業率すら40%を超えている)、それでも5人に1人が失業者という社会状況は深刻だ。C&H社のルワンダ進出も、こうした社会問題への対策としてカガメ政権側から打診された面もある。馬暁梅は語る。

C&H社の社員の名刺の裏に印刷された広告。軍服を作っていることは、むしろ会社のアピールポイントだ

「中国とアフリカ諸国の関係はウイン・ウインなんですよ。私たち中国の企業は現地に雇用をもたらしているし、職業訓練の機会も提供している。私たちはトレーニング・スクールも作っています。ルワンダの若者は、大卒どころか留学帰りだって、仕事がない人が大勢いるんです」

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