「サステナブル・ブランド国際会議2019東京」が、2019年3月6日、7日にヒルトン東京お台場にて開催されました。気候変動や食品ロス、貧困など日本が抱える社会問題が深刻化する一方、2030年に向けて、サステナブル(持続可能)な社会への関心も広がりを見せています。

企業や組織だけでなく、生活者一人ひとりが取り入れることのできる、サステナビリティのヒントであふれたセッションの様子を二回にわたってお届けします。

「サステナブル・ブランド国際会議」とは?

サステナビリティとブランド戦略の統合をテーマに、世界12カ国13都市で開催されている世界最大級の国際会議。1企業、1団体では達成困難なSDGsに対して、組織や企業、国境を越えて、参加者同士がディスカッションやネットワーキングができるプラットフォームでもあります。

日本では3回目の開催となった今年のテーマは、“グッド・ライフ”実現に向けての「再構築」。150名におよぶスピーカーが集結し、生活者がグッド・ライフを実現するために、ブランドが果たすべき役割などが議論されました。

新しい協働でグッドソサエティを実現する

(左から)ファシリテーターの足立直樹さん、GCNJの有馬利男さん、リコーの加藤茂夫さん、環境省の中井徳太郎さん。

「Good Societyをリ・デザインする」と題された基調講演には、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)代表理事の有馬利男さん、リコー サステナビリティ推進本部長の加藤茂夫さん、環境省 総合環境政策統括官の中井徳太郎さんが登壇。

日本では社会全体をどう持続可能にするのかという具体的なビジョンを、国際的企業ネットワーク、企業、行政の異なる立場の3名が語りました。

ファシリテーターを務めたSB TOKYO サステナビリティ・プロデューサーの足立直樹さんは、脱炭素化や脱プラスチックが急速に進んでいるほか、サプライチェーン、人権など対処しなければいけない課題がたくさんあるなか、「グッドソサエティをどのように実現していくのか」と問いかけました。

有馬さんは、「グッドソサエティとは、『安心で希望の持てる幸せ感のある社会』だと考えています。これはまさにSDGsを実現すること」と話し、GCNJが行ったアンケート調査にて、経営陣のSDGs浸透度が2016年の20%から、2018年には59%まで広がったと紹介。

しかし、中間管理職への理解やレポーティングに課題があり、経営への統合が十分でないと言います。また、昨年発表された関東経済産業局のアンケート調査では、中小企業の92%が「SDGsを知らない」と回答。中小企業での認知度の低さも指摘しました。

続いて中井さんは、「2015年のSDGsやパリ協定を受けて、日本政府は公式方針として、『地域循環共生圏』という概念を打ち出しました。これまでの大量生産、大量消費、大量廃棄ではなく、エネルギーや食料といった自然の恵みを、自律分散、地産地消でまわしていける世界を描いたもの。SDGs17の目標の統合を、一人ひとりがボトムアップで理解しようという動きです」と力強く語りました。

リコーは、創業精神の「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」をもとに、人々の生活、地球環境、経済がバランスよく成り立っている社会を、目指すべき社会の姿(3Psバランス)と定めているとのこと。

グッドソサエティを実現するために企業は、「高い目標を掲げて、やれることではなく、『やるべきこと』を決める。そこからバックキャスティングして、今できることを事業として進めていく。そして、パートナーと一緒に自分ごと化にしていかなければいけない」と加藤さん。

今後の具体的な役割については、「企業とNPO、NGOなどの社会組織や行政との連携が悪くなっているという統計があります。こうした動きを上向きに持っていきたい」(有馬さん)、「環境省はプレイヤーとして、行政や企業、金融機関、NPOの協議の場をつくる支援や、各省と連携した先行的なプロジェクトをやっていく。また、地方銀行や信用金庫とも連携し、中小企業の意識を変えていきます」(中井さん)、「企業は経営資源を活かして、社会貢献して成長する。中小企業も持っている技術を活かして、みんなで変えていくという意識が重要だと思います」(加藤さん)とそれぞれコメント。

足立さんは、「キーワードは、『協働』していくことだと思います。サステナブル・ブランド国際会議も単なる学びの場ではなく、いろんな人との出会いやネットワークを作って、ここから新しい協働が始まり、強化されていく場にしたい」とまとめました。

サステナブル・ブランド ジャパン
http://www.sustainablebrands.jp/

次回は、SDGsへの取り組みが伝わる情報発信のあり方を議論した「姿勢が伝わるコミュニケーション」と、グッドライフの実現に向けて、どのように消費者調査を活かすかを議論した「消費者調査からみる日本におけるグッドライフ戦略のリ・デザイン」をレポートします。

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Photo:Takaaki Inoue