太っていたころの私は、食事に五感を使っては向き合っていませんでした。「食べるのが好き」と言いつつ、舌の味覚だけでしか味わっておらず、単にお腹を満たすだけの食べ方していました。たくさん食べても、美味しいものを食べても、真に脳が満足するために本当に必要な食事をしていなかったのです。

だから満足度が低く、ついつい食べ過ぎてしまったり、食後に不必要なおやつを食べてしまったり。本能的な食欲を漫然と満たすための食べ方だったのです。

そんな状態を、スパイスカレーによって気づかされました。スパイスの組み合わせによって自分好みのカレーが作れるので、どのスパイスがどんな味や香り、色、刺激を生み出しているのだろうかと真剣に向き合いました。

印度カリー子流の味わいかた

スパイスカレーを食べるときは、五感をフルに活用し「香り」「食感」「色合い」「刺激」などを楽しみます、目の前にある食事を見て、色を認知し、香りをいっぱい吸込み感じます。

印度カリー子が調合したスパイス。組み合わせによってそれぞれがまったく違う香りに変わる

そのあと口に運び、温度、触感、そして味を堪能します。よく噛んで、素材が舌の中で変容することを感じて、その音の変化にも注意を向けます。

もちろん、周囲に流れている音楽、テレビなどは消します。スマートフォンなんてもっての外です。周囲の余計な音をシャットアウトし、目の前にあるカレーだけを見て、色を知覚し香りを感じ、触感や刺激を意識して、噛む音を聞きます。神経をフル活用してカレーに向き合いました。

スパイスカレーは日本のカレーと違って、食材やスパイスを少し変えるだけで大きく味が変わるので飽きることがありません。

例えば、鶏肉を、豆に変えたスパイスカレーを作るといったように、具材を変えるだけでまったく違う味わいになります。これは煮物に例えると想像しやすくて、全く同じ味付けでも里芋の煮物とひじきの煮物だと別物になります。

スパイスもこれと同様に、香りを変えれば風味も変わります。同じく煮物で言えば、醤油と砂糖のバランスを変えた感じでしょうか。すなわち、ちょっと変えて作れば新しいものに出会え、単に美味しいを超えた感動や発見が、いつもの食卓にいとも簡単に作り出せるのです。

とある日につくった、ひよこ豆のスパイスカレー

これまで食べたことのないものを食べると、神経細胞が活発にはたらき、脳が活性化され、ひらめきなどが生まれると言われています。スパイスの香りよって一度「おいしい」という感情を「色合い」や「味わい」とともに記憶した脳は、食による新しい刺激を求めます。

スパイスカレーは、具材やスパイスの量を少し変えるだけで「いままで食べたことのない新しいカレー」を生み出すことができる食べ物です。昨日とは違う、未知なる「おいしさ」が脳内で更新され、それが食事の満足度アップにつながるのです。

スパイスカレーに真剣に向き合って食べると、食後にとてつもない満足感つつまれて幸せな感覚に陥ります。

脳みそがフルに活用されて、お腹がいつまでもポカポカしていて、身体の隅々まで血流が回っている状態になり元気がみなぎってきます。汗が出てきて代謝が上がっている感じがします。

これには、唐辛子の辛み成分によってβエンドルフィンが脳内に分泌されるからという説があり、これはモルヒネ様物質で、鎮痛作用・多幸感に包まれると言われています。言うなればランナーズハイの時と同じ状態で、私はこれを「カレー酔い」とよんでいます(笑)

毎日食べていたほうが、明日も食べられる、明日も新しい味で感動できる、今日のカレーは明日のカレーのための原動力になり、食べ過ぎることもなく、空腹のストレスも溜まりません。食後のデザートも一切いらなくなり、カレーだけで満足できるし、カレーだけで満足していたいと思うようになります。

私はスパイスカレーに出会って、食事はお腹を満たすものではなく、脳で満たすものだという考え方になったのです。“食べたいと思う”ものを“五感で美味しい”と感じて食べることが何より大切だということを知りました。つい「おいしい!」って大きな声で独り言を言ってしまったこともあります(笑)。もしかすると感動を声に出すことも食事にとって大切なことかもしれません。

そうして毎回1食、スパイスカレーを食べ続け今年で3年目を迎えました。スパイスカレーによって1年間で7kgほどの減量にはじまり、今では過ごしやすいからだになりました。運動をしていて下半身が痛むことがないし、夜食べ過ぎる事もなくなって朝の目覚めも良くなりました。

スパイスカレーは、たまねぎ、にんにく、しょうが、トマト、肉をスパイスと一緒に炒め、水を少し加えてから塩で味を調えれば完成する、かんたんでおいしい料理です。「難しそうだ」という単なるイメージから、その魅力を知らずに過ごしている人がいるのはあまりにもったいない!と思うのです。

ひとりでも多くの人がスパイスカレーにチャレンジしやすい環境をつくることで、みなが幸せな食生活を送れるようになったらなと常に願っています。

自宅でかんたんにおいしくスパイスカレーが作れるスパイスセットをインターネットショップの「印度カリー子のスパイスショップ」(https://indocurry.thebase.in/categories/1321065)で販売しています。