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体も心も痛い…「時代遅れの中絶手術」で傷つく日本の女性たちの叫び

Session-22✖️現代ビジネス
現代ビジネスとTBSラジオ『荻上チキ・Session-22』のコラボ企画、今回は、今年3月25日に放送され反響を呼んだ「日本の人工妊娠中絶」についての回を編集してお届けします。

【前編はこちら】

日本は、「中絶後進国」

チキ 日本では現在もメジャーな中絶方法である掻爬術、なんですけれども、WHOは、これをやめるべきだと言っているわけですか?

遠見 そうですね。

チキ それは、どうしてですか?

遠見 それはもう、「別の良い方法があるから」ですよね。

チキ 掻爬術にはリスクがある一方で、別のもっとベターな代案がある、そういう状況だからですね。では、そのWHOの勧告があるにもかかわらず、掻爬術が日本でメジャーなのはどうしてでしょうか?

遠見 そうですね。それはやはり中絶のことを医療従事者も語りづらいというか、語れないという事情があるのかもしれないです。

私はいま中絶の現状調査のためにいろいろな方から話を聞いていて、中絶に携わっている医療従事者にもヒアリングをしているんですけど、彼らの意識を聞くと、「誰もやりたがらない“闇の仕事”をしている」とか、「悪い人を手術している」みたいな意識を持っている人もいるんですね…。

あるいは、その、なんというんでしょうか…。「自分が中絶手術をした人にこの体験を忘れてほしくないし、自分が何をしたのかしっかり心に刻んでほしいから、手術をそういう機会にしてほしい、という気持ちを自分は持っている」という話をしてくださった方もいます。私自身も実際、自分が中絶をする側だったので、本当に言葉に言い表せない気持ちになることを理解はできるんですよね。

ただ、そうはいっても医療で罰を与えるとか、人をジャッジしたり律したりすることが必要だとは思えないんですよ。

 

チキ そうですね。

遠見 世界標準の安全な、エビデンスもある医療がすでに存在するのだから、それをどんな人に対しても平等に提供すれば良い。

それに英語の「Safe Abortion」は安全な中絶と訳されますけど、この言葉には中絶だけでなく流産も含まれています。じっさい中絶の手法とかケアが改善されないと、流産の手法やケアも改善されないという面もあるんです。

チキ 先ほどの、「忘れてもらいたくない」というのは、要するに中絶という「悪いこと」をした妊婦に対して自分の罪を忘れさせないようにするというか、そういった二重の罪悪感、痛みを与えていることになるわけですよね。

でもこれが仮に交通事故に遭った人に対して、「あなたが二度と事故に遭わないようにするために、今から麻酔なしで手術します」って言ったら、医師は「バカか」と言われるだけじゃないですか。

そんなやり方で手術しなくても中絶した本人は忘れないだろうし、第一「忘れないこと」が二度と繰り返さないことになるのかというとそういうわけでもない。正確な知識であるとか環境改善とか、他のもっといろんなものが必要ですよね。でもこの分野においては、そういった価値観をいまだに持っている医療従事者もいる、ということなんですね。