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夏場所V・朝乃山と同じ富山が生んだ、もう一人の「大物」力士

角界から「日本三大億万長者」へ

鷲尾獄を知っていますか

「トランプ場所」とも皮肉られた大相撲夏場所、米国のドナルド・トランプ大統領から幕内最高優勝者に贈られる大統領杯を手渡されたのは、西前頭1枚目の朝乃山でした。平幕力士の優勝は、昨年初場所の栃ノ心以来、1年4ヵ月ぶりでした。

それ以上に驚いたのが、富山県出身力士の優勝が1916年夏場所の横綱・太刀山以来、実に103年ぶりだったということです。

ところで富山県出身力士で、私が真っ先に思い浮かべたのは鷲尾獄(改名前は砺波山)のことです。鷲尾獄といっても、皆さん、ピーンとこないでしょう。かくいう私も、どんな力士だったか、皆目、見当がつきません。最高位は幕下筆頭です。

では、なぜ鷲尾獄を思い浮かべたのか。それは、およそ力士出身者で、実業家としてこれだけの成功を収めた者はいないと思われるからです。

彼の本名は大谷米太郎。そう、今でもホテルニューオータニに、その名をとどめています。

 

日本経済新聞の名物コラム「私の履歴書」によれば、鷲尾獄は小矢部市の貧農の出身で、満足に小学校にも通えなかったといいます。しかも上京したのは31歳の時。それから力士になり、「日本三大億万長者」のひとりに数えられるようになるのですから、波乱万丈などという言葉が、かわいく思えてくるようなドラマチックな人生です。

周知のようにホテルニューオータニは、1964年の東京オリンピック開幕前に開業したホテルです。短い期間で効率よく大型ホテルを建設するためには、あらかじめ生成されたボディーを建造物に組み入れた方が省力化できる——。そうした発想からユニットバスが生まれたことも、今では広く知られています。