少数民族ピグミーの少年と村長が教えてくれた「これだけのこと」

泥水、死んだ小鹿、悲しい歌声…
春間 豪太郎 プロフィール

午前3時、女性の歌声で目を覚ますと……

そして、ンジャンゲでの生活にも慣れてきて、滞在も残り数日となったある日のこと。

夜、おれは女性の歌声で目を覚ました。時計を確認すると、午前3時だった。

今まで、夜中に赤ちゃんの夜泣きを止めるために母親が子守唄を歌っているのは聞いたことがあったが、今回の歌は明らかにようすがおかしい。

歌っているのは1人ではなく、2、3人はいたし、そのメロディや歌い方はどこか悲しさというか、悲痛な叫びを含んでいた。

おそらく、これは何かの儀式に違いない……!

 

そう考えたおれは、その儀式がよそ者のおれにとって良い物か悪い物かは分からなかったので、音を立てないようにしながらいつでも飛び出せるよう準備して息を潜める。

しばらくすると、村長がドアをノックした。

「Go、起きてるか? 近くの村まで行くからついて来い」

「起きてる。村ってどこの?」

「すぐそこの村だ。あとで説明する」

家を出ると、ジャンゴやその他の村人たちも起きていて、うち何人かは同じく悲痛な歌を歌っていた。

村長はおれを認めるとすぐに村の外へと走って行ったので、慌てておれも追いかける。

隣の村も、さらにはバンツー族の村も越え、かなりの距離を走り続けたがまだ目的地に着かないようだ。

途中、同じ歌を歌い続けている人たちと出会ったが、彼らも同じ方角へ向かっていた。この儀式はンジャンゲ以外の村でも同時に行われているようだった。

そして走り続けて30分あまりが経過したころ、おれと村長はンジャンゲから遠く離れた村の一軒の家にたどり着いた。