少数民族ピグミーの少年と村長が教えてくれた「これだけのこと」

泥水、死んだ小鹿、悲しい歌声…
春間 豪太郎 プロフィール

村長が死んだ小鹿を持ってきた

その数日後、ジャンゴとおれ、槍を持った若者たち5人と2匹の犬で、森の奥へ狩りに行くことになった。犬は獲物を見つけたり追い立てたりするのに役立つらしい。

しかしこの日、丸一日かけて森を歩き回ったが食べられそうな獲物を見つけることはできなかった。

ただし、途中何度か20メートルほどある巨木に登って取った蜂蜜はたくさんあるので、村の人々の栄養源は多少なりとも確保できた。

そしてその次の日、村長がおれの所に死んだ小鹿を持ってきた。

「Go、この鹿は隣の村が狩りで捕まえたものだ。うちの村は昨日の狩りで何も取れなかったから、1頭丸ごと買い取らないかって話があるんだが、買ってくれないか?」

「いくら?」

「2000CFAフラン(約400円)だ」

ンジャンゲは周りの村よりも貧しく、400円でも大金だ。

 

政府からの資金援助で建てられた学校が森の中にあり、周りの村の子たちはそこへ通っていた。

しかし、ンジャンゲの子供たちは学費が払えないため通えず、ジャンゴもよく「学校、行ってみたいけどタダじゃないからダメだね」と悲しそうにこぼしていた。

おそらく、隣の村はンジャンゲにいる日本人のおれが小鹿を買うのではないかと考え、話を持って来たんだろう。

「分かったよ、村長。おれが買い取るからみんなで食べよう」

こうしてその日は鹿肉が皆に振舞われた。おれもここに来てから一切肉を食べていなかったので夢中になってがっつき、肉汁もすべて飲み干した。

日本で食べる肉と比べると臭みがかなり強く半生でもあったが、肉は肉だ。味が無くパサパサしたキャッサバよりも遥かに美味しいことは間違いない。